池谷・チャン彗星特集 2002年

観測報告

 3月9日 尾も見えて、まさに彗星

 3月22日 肉眼でも確認、アンドロメダ大星雲よりもご立派

最近、池谷(いけや)・チャン彗星(チャンは張さんのことです。つるちゃんのチャンじゃないよ!)が発見されました。あのイケヤ・セキ彗星で有名な池谷さんによる発見です。この彗星は今年の3月末頃に4等級くらいまで明るくなりそうです。楽しみですね。

はじめに太陽系の様子を確認しておきましょう。右の絵は池谷・チャン彗星が最も明るくなる頃の彗星と地球の位置関係を「つるちゃんの3D太陽系 シェア版」で表示したものです。
3月28日の太陽系の様子
今度は彗星から地球方向を眺めた様子です。地球はうみへび座のしっぽの方向に見えています。
 
池谷・チャン彗星から地球方向を眺める
 
さらに、彗星から太陽の方向を眺めてみましょう。彗星は金星の軌道の内側まで入り込んできています。
池谷・チャン彗星から太陽方向を眺める

下の絵は「つるちゃんのプラネタリウム for Windows シェア版」で表示した池谷・チャン彗星の経路です。彗星は2月は徐々に北上していて、3月から5月にかけて北天を移動していき、その後5月からは南下していくことがわかります。

池谷・チャン彗星の経路

彗星は今年の3月下旬頃に最も明るくなり夕空に見えそうです。下の絵は3月28日19時の北西の空の様子ですが、日の入り後40分しか経っていないのでまだ薄明状態です。薄明が終わるのが明石の場合で19時43分ですから、彗星の高度はもう少し低くなってしまっています。おまけにこの頃は満月前後の月明かりが東天にありますから、ちょっと見づらくなってしまいます。しかし、彗星の光度は4等級と比較的明るいので、双眼鏡でもあれば尾の生えた彗星の姿を確認するのは容易でしょう。幸い2等星のアンドロメダ座ベータ星が近くにいますのでこれを目印にしましょう。
 
※彗星の尾は0.05天文単位で計算しています。

夕空での池谷・チャン彗星(3月28日の例)

3月28日の池谷・チャン彗星のデータ左の情報を見ますと、この日の彗星は明石の場合で20時39分に西空へ沈みますから、彗星を天体観測できる時間は薄明終了後約1時間しかありません。しかも低空では彗星は見づらくなりますから、実際に観測できる時間はそれよりも短くなってしまいます。

4月以降は明け方の北東の空に彗星を見ることができます。残念ながら光度は少しずつ暗くなっていってしまいますが、高度の方は急速に高くなっていくので条件はよくなります。しかも4月11日以降は月明かりの影響がなくなるので好都合です。
 
明け方の池谷・チャン彗星(4月10日の例)

 どうか彗星が明るくなってくれますように。それでは皆さんの健闘を祈ります。

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