最近の天文界はニート彗星とリニア彗星の話題で持ちきりですが、そんな中、また新たな彗星が発見されました。ブラッドフィールド彗星という名前の彗星(C/2004 F4 BLADFIELD)で、まだ軌道が正確に確定していませんが、水星の軌道よりも内側にまで入り込んで太陽に接近する彗星なようです。ですから、予想外に明るくなる可能性を秘めた彗星といえるのではないでしょうか。
下の絵は星座間を移動するブラッドフィールド彗星の経路です。4月下旬から5月にかけてアンドロメダ座付近を通過していくことがわかります。
ブラッドフィールド彗星の経路 |
下の絵は明石での日の出1時間前におけるブラッドフィールド彗星の位置です。観測地が違っても、緯度が違わなければさほど違いはありません。ブラッドフィールド彗星は4月下旬に東北東の低空に現れた後、次第に高度を上げてくることがわかります。4月下旬から5月上旬にかけては上方に伸びた短い尾が観測できるかもしれません。ただし、日が経つにつれて彗星の明るさは急速に暗くなっていくので注意が必要です。
日の出1時間前におけるブラッドフィールド彗星の位置 |
下の絵は4月25日明石における日の出1時間前の東天のようすです。実際には既に薄明状態が始まっていますので、空は明るくなりつつあります。この日の彗星の明るさは4等と推定されますが、かなりな低空な上に薄明状態での観測となるので、双眼鏡か天体望遠鏡がぜひとも必要でしょう。また、低空まで空の状態が良くないと観測するのは骨が折れるかもしれません。近くにはリニア彗星も見えますので、いっしょに見ておかれるとよいと思います。5月下旬のニート彗星とリニア彗星の競演の前に、ブラッドフィールド彗星とリニア彗星の競演というのはいかがでしょうか。
2004年4月25日 明石における日の出1時間前の東天のようす |
最後に、現在推定されているブラッドフィールド彗星の光度予想を掲げておきます。ただ、彗星の光度予想ほどあてにならないものはないので、参考程度にお使いください。
日付 | 光度 |
---|---|
4月21日 | 2.9等 |
4月23日 | 3.7 |
4月25日 | 4.4 |
4月27日 | 5.0 |
4月29日 | 5.6 |
5月 1日 | 6.0 |
5月 3日 | 6.5 |
5月 5日 | 6.8 |