見えるか、ロニオス彗星 2007年10月末

 現在、ロニオス彗星(C/2007 F1 LONEOS)という彗星が増光中です。ロニオス彗星は今年3月頃にローウェル天文台で発見された彗星です。ロニオスは Lowell Observatory Near-Earth Object Search(LONEOS) の略で、ロネオスとも言うそうです。彗星は10月28日頃に地球へ0.72天文単位まで接近し、10月29日頃に太陽へ0.40天文単位まで接近します。これに向けて彗星の明るさも増光中で、10月末には4等級まで明るくなるのではないかと期待されています。ただひとつ難点は高度が低いことですが、彗星のことなのでやむを得ません。

 
 天文ソフトをダウンロードを使うと、ロニオス彗星をシミュレーションできます。
 ※このページの画像は「天文ソフト つるちゃんのプラネタリウム」のシェア版」を使用しています。
 
    ・「天文ソフト つるちゃんのプラネタリウム」をダウンロード
    ・ロニオス彗星のデータを設定
    ・つるプラでロニオス彗星をシミュレーション
 

ロニオス彗星の軌道

 下の絵はロニオス彗星が地球へ最接近する頃の太陽系のようすをつるちゃんの3D太陽系で描いたものです。ロニオス彗星は太陽に最も接近した状態で地球との最接近をむかえます。ある意味、この彗星としては最高の条件といえるでしょう。
 10月いっぱい彗星は地球軌道面よりも北側にありますが、次第に南下していき、11月以降は地球軌道面の南側へと移動していきます。

地球最接近頃の太陽系のようす

地球最接近頃の太陽系のようす

ロニオス彗星の経路

 下の絵は10月から11月上旬頃にかけて、ロニオス彗星の経路を示したものです。彗星は北から次第に南下していき、かみのけ座→うしかい座→おとめ座→へび座→てんびん座→さそり座へと順に移動していくことがわかります。10月19日から21日にかけては、うしかい座のアークトゥルスへ接近しますので、彗星を探す際の良い目印となるでしょう。

ロニオス彗星の経路

10月から11月上旬にかけて ロニオス彗星の経路

ロニオス彗星の明るさ

 気になるロニオス彗星の明るさですが、下の絵をご覧ください。10月上旬には8等級だった彗星はその後どんどんと明るくなります。10月半ば頃には6等級を突破し、観測条件を無視すれば肉眼彗星となります。そして、最接近となる10月下旬頃には4等級まで明るくなることが期待されています。その後彗星は次第に暗くなっていき、11月12日には6等を割り込みます。
 といっても、彗星のことですから予想はあてにできません。これよりも暗い目で推移するかもしれませんし、今年1月のマックノート彗星のように突発的に増光するかもしれません。いずれにしても彗星から目を離さないようにしたいところです。

ロニオス彗星の光度変化

ロニオス彗星の光度変化

ロニオス彗星の見え方(10月前半)

 10月前半のロニオス彗星は、夜明け前の東北東の空に見えます。日没後に西北西の空にも見えなくもないのですが、見やすいのは夜明け前です。下の絵は日の出1時間前、東京でのロニオス彗星の位置変化を示したものです。3日間隔で彗星の位置と尾の方向を示しています。彗星は右下へと移動していき、ドンドンと条件が悪くなります。これに反して彗星の明るさは明るくなりますが、日の出1時間前の薄明中で高度も低く、観測するためには天体望遠鏡が必要となります。
 10月中旬に彗星は合となりますので、夜明け前の東天で見られるのはこのあたりまで。以降は日没後の西天がメインとなります。

日の出1時間前 ロニオス彗星の位置変化

日の出1時間前 ロニオス彗星の位置変化

ロニオス彗星の見え方(10月後半から11月前半)

 10月後半になると、ロニオス彗星は夕方の西空で見ることができます。下の絵は日の入り1時間後、東京でロニオス彗星が見える位置変化を表したものです。10月1日は一番右端で、日が経つにつれて南の方角(左の方)へ移動していきます。
  日の入り1時間後の彗星の高度は10月24日に最も高くなりますが、それでも8.1度しかありません。この頃の彗星は4等級と考えられますが、薄明中である上に高度が低いため、肉眼ではとてもおぼつかないでしょう。双眼鏡くらいは必要だと思っておいて間違いありません。

日の入り1時間後 ロニオス彗星の位置変化

日の入り1時間後 ロニオス彗星の位置変化

10月28日の場合の見え方

 最後に、ロニオス彗星が見やすくなる頃の例を紹介しましょう。下の絵は10月28日、東京での日の入り1時間後の西空のようすです。この日は日曜日である上にロニオス彗星が地球へ近づいていますから、双眼鏡を片手にみなさんも挑戦してみてください。
 
 この日、東京での日の入り時刻は16時51分です。薄明が終了するのは18時6分ですから、下の絵では空はまだ少し明るい状態です。彗星は西の方向に見えて高度は6.8度です。大気の影響を大きく受ける高度ですので、実際にはもう少し早いめの時刻から見始めることをオススメします。ちなみに、日の入り時刻における彗星の高度は18.6度です。大人が腕を前に伸ばしてゲンコツを縦に作ると、それが約10度になりますので、ひとつの目安にしてください。
 
 前置きはこのくらいにして、実際に空を見てみましよう。このくらいの時間だと、南西の空に木星と、北北西の空にアークトゥルスが肉眼でも見えるはずです。もし空の状態が悪くてこれが見えないようだと、彗星を見つけるのはかなり苦しいと言わざるを得ません。2つの星が見つかれば、ロニオス彗星はその中間付近からやや下側に見えるはずです。アークトゥルスよりもちょっぴり低いめの高度ですよ。
 
 近くには目印になりそうな明るい星はありませんので、双眼鏡で丁寧に探してください。なにやらボーッとした天体が見つかれば、それがロニオス彗星です。もし尾が見えるとすれば上方向に伸びているはずですので、尾が見えるかどうかも確認しておきましょう。

10月28日 日の入り1時間後 ロニオス彗星の位置(東京)

彗星の見え方
 
 「つるちゃんのプラネタリウム for Javaアプレット」では、ロニオス彗星をインターネット上でシミュレーションできます。
 
    ・万能プラネタリウム
      彗星の位置を表示できます。
    ・惑星の経路
      彗星の経路を表示できます。惑星をロニオス彗星へ変更してください。
    ・内惑星の位置
      日の出・日の入り時刻の彗星の位置変化がわかります。惑星をロニオス彗星へ変更してください。
 

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