ラブジョイ彗星 C/2014 Q2 (Lovejoy)

 ラブジョイ彗星が2014年の年末から2015年の2月前半にかけて明るくなり、街中からでも双眼鏡で観測できそうです。1月上旬は5等台後半まで明るくなると予報されていますから、この機会に彗星の天体観測はいかがでしょうか。

ラブジョイ彗星とは

 ラブジョイ彗星(C/2014 Q2 Lovejoy)は、2014年8月17日に、オーストラリアのラブジョイさんが発見した新しい彗星です。ラブジョイ彗星といえば、2011年12月に太陽へ大接近し、南半球で立派な尾が見られたラブジョイ彗星(C/2011 W3)を思い出しますが、これとは別ものです。発見当初は14.8等という暗いものでしたが、2015年1月7日には地球へ0.47AUまで接近し、これを目指して一気に増光していきます。

 (2015.1.12 追加)当初の予報よりも明るい目で推移していますから、空が暗い場所からなら肉眼でも見えますし、双眼鏡があれば市街地からでも当分の間楽しめそうです。

1月13日に読者のブン太郎さんが撮影されたラブジョイ彗星の写真

1月13日に紀美野町みさと天文台で撮影された写真

※クリックで紀美野町みさと天文台のページへ

軌道

 下の図は2015年1月7日における太陽系の軌道図です。この日、地球とラブジョイ彗星は軌道上の最接近地点から近い場所にあり、理想的な位置関係にあります。ラブジョイ彗星の軌道は地球軌道面に対し、垂直に近い80度という角度で交差しており、大きな特徴となっています。ラブジョイ彗星は図で下から上へ(南から北へ)移動しています。今後は北側へ移動してくるため、日本など北半球からの観測条件が良くなります。

明るさ

 下のグラフはラブジョイ彗星の光度変化を表したグラフです。これを見ると1月前半に最も明るくなり、肉眼で見えるギリギリの明るさである6等を、わずかに突破することがわかります。このことから、市街地でも双眼鏡を使えば観測することができそうです。

(2015.1.17 追加)実際は予報よりも1.5等から2等ほど明るいようです。

移動経路

 下の星図は2014年12月から2015年1月にかけて、ラブジョイ彗星が通る経路を示したものです。彗星は、とも座からはと座、うさぎ座を通って2015年を迎えます。その後、エリダヌス座、おうし座を通り、さらに、おひつじ座、さんかく座を通過し、アントロメダ座に入ったところで2月になります。詳しい移動経路を示した星図を用意しましたので、下のリンクをご覧ください。

  ラブジョイ彗星の移動経路(2014年の年末から2015年の年始)
  ラブジョイ彗星の移動経路(2015年1月上旬から1月中旬)
  ラブジョイ彗星の移動経路(2015年1月中旬から2月上旬)
  ラブジョイ彗星の移動経路(2015年2月)

経路全体

見え方

 彗星は恒星とは異なり、面積を持った天体です。このため全体的にぼんやりしており、光が拡散しています。肉眼や双眼鏡で探すときは、モヤモヤしたとらえどころのない、丸くボーツと光る天体を探してください。尾はあまり発達していないと思われますので、期待しない方がよいでしょう。

肉眼で見える?

 明るくなった頃の明るさは5.7等です。肉眼で見える最微光星は6等星ですから、観測条件が整ったとしても、肉眼で見つけるのは難しいでしょう。見るためには最低でも双眼鏡が必要で、双眼鏡か天体望遠鏡を準備しましょう。双眼鏡があれば、多少の光害がある程度でしたら、見つけることができるでしょう。しかし、街明かりが激しい市街地からだと、観測できないかもしれません。

見える位置

 ここではラブジョイ彗星が、いつ、どの方角に見えるかを紹介しましょう。

12月24日

 年末になるとラブジョイ彗星は、南の空で次第に高度を上げてきます。下の星図のように12月24日クリスマスイブですと、東京では23時過ぎ頃に南中します。ちょうどオリオン座が南中しており、その足元にうさぎ座がありますが、ラブジョイ彗星はそれよりも南にあります。はと座のα星(2.7等)とβ星(3.1等)が目印になるでしょう。明るさは6.5等とだいぶ明るくなってきましたし、月明りもありませんから、双眼鏡があれば楽に見つけることができます。
 

12月31日

 大みそかの夜、12月31日22時ごろのようすです。ラブジョイ彗星が南中しています。先週よりも少し明るくなって、6.0等となりました。特徴あるうさぎ座の中にあって、見つけやすいでしょう。月齢9.5の月明りがあるので、少し観測しづらいのが残念です。このあと彗星は見かけ上、日を追うごとに加速しながら、右上の方へ移動していきます。
 

1月7日

 今日は地球とラブジョイ彗星が最接近する日です。この日、両天体は0.47AUまで近づいています。明るさの方も5.7等と6等を突破しました。
 
 下の星図は18時も南東の空です。東京で空が完全に暗くなるには、あと15分ほどが必要です。この後、18時48分(東京)に月齢16.3という満月過ぎの大きな月が昇ってきますから、それまでに観測を済ませるのが賢明です。月明りは彗星など淡い天体の大敵です。
 
 明るい星の少ないエリアにいますから、少し見つけづらいかもしれません。オリオン座の底辺の2星を、リゲル(β星)側へ2倍ほど延長すると探しやすいでしょう。
 

1月14日

 下の星図は1月14日21時、南西の空のようすです。月齢の条件やラブジョイ彗星が移動する関係で、見る時間と方角がコロコロ変わっています。この日は南西を向いて空高く見上げてください。星図では高度60度付近にありますが、実際に空を見上げると、もう少し高い位置にあるような感覚に陥ります。
 
 ラブジョイ彗星は、この日も5.8等と5等台をキープしています。おうし座まで大きく移動しており、ラブジョイ彗星が日々移動していることを実感させられます。近くに明るい星がなく、位置的には少しわかりづらいですが、すばると1等星アルデバランの位置関係から、大ざっぱに見当をつけて、モヤッとした天体を探しましょう。
 

1月24日

 下の星図は1月24日22時のようすです。ラブジョイ彗星は西の空で空の中ほどにあります。時刻は22時としましたが、この時刻になると月が沈むからです。彗星観測に月は大敵。月齢は4.0で太ってはいませんが、それでも月明かりはないに越したことはありません。
 
 ラブジョイ彗星は10日前と比べてだいぶ位置が変わりました。相変わらず明るい星が少ない領域にありますが、おひつじ座のα星(2.0等)とアンドロメダ座のγ星(2.2等)との位置関係から見当をつけて、ぼんやりした光の塊を探しましょう。
 

2月5日

 2月に入って光度が落ちてきました。2月5日の場合は6.9等とだいぶ暗くなりました。それとともに動きの方も緩やかになってきました。
 
 この日はラブジョイ彗星がアンドロメダ座のγ星(2.2等)へ0.5度まで近づきます。星図ではγ星と彗星がほとんど重なって表示されています。実際はラブジョイ彗星がγ星のすぐ右上に見えますので、これほど見つけやすい日はありません。まだ見れていない方は、この日にぜひご覧になってください。
 

シミュレーション用データ

 「つるちゃんのプラネタリウム」など、つるちゃんシリーズの各プログラムを使って、ラブジョイ彗星のデータ登録をしてシミュレーションをされる場合は、次のようにデータ登録を行ってください。プログラムは当サイトトップページの[ダウンロードとご購入]より、ダウンロードしてご使用いただけます。
 
 1.プログラムを起動して表示設定画面を表示する。
 2.日時や観測地を適当に入力して[OK]ボタンを押す。
 3.プラネタリウムが表示されたらメニューバーより、[ツール]−[オプション]−[彗星データ設定]を選択。
 4.プラネタリウム用彗星設定画面の左下にある[次へ]ボタンを何度か押す。
 5.空白行へ下の画像のようにデータを入力する。左端のチェックボックスへチェックを入れること。
 6.[OK]ボタンを押せば設定完了。