2018年のジャコビニ・チンナー彗星は、夜明け前の北東から東の方向に見えます。ここでは8月31日から9月25日まで5日間隔で、彗星が見える位置や見つけ方を紹介します。いつもより少し拡大し、7等星まで表示した星図を載せておきましたので参考にしてください。
朝の3時ごろ、北東の空を見上げましょう。空の中ほどよりも少し高い位置に、ぎょしゃ座のα星である1等星カペラが見えます。ジャコビニ・チンナー彗星は、カペラの左上にあります。間隔は6.0度ですから、7倍くらいの双眼鏡なら同一視野におさまります。カペラを視野の右下端へ持ってくると、彗星は視野の左上端にあります。モヤッとしたとらえどころのない淡い天体が見つかれば、それが目的のジャコビニ・チンナー彗星です。
この日の明るさは6.9等で、6等台へ突入してきたところです。しかし残念なことに、月齢19.3の丸みを帯びた大きな月があり、観測の妨げになります。この後彗星は、9月3日にカペラへ1度まで大接近するので必見です。
9月3日にカペラへ1度まで大接近したジャコビニ・チンナー彗星は、ぎょしゃ座が作る五角形の内側へ入ってきました。この日、カペラとの間隔は3.4度ですから、今日も接近状態が続いています。10倍くらいの双眼鏡でも同一視野で楽におさまりますから、探す苦労はありません。ぼんやりした天体を探しましょう。近くに明るい散開星団が3つあり、同じような見え方をしますが、カペラから離れているので間違えることはないでしょう。
この日の月齢は24.3です。半月よりも少し細くなったとはいえ、ジャコビニ・チンナー彗星から25度しか離れていませんので、月明かりの影響を受けそうです。彗星の高度が10度台と低くなってしまいますが、前日の23時台（月が昇る前）を狙ってみるのも一考です。
ジャコビニ・チンナー彗星が地球と最接近する日です。2018年のジャコビニ・チンナー彗星のページで説明しましたのでご覧ください。
概略位置 |
 |
拡大図、移動経路も示した |
 |
地球最接近から5日がたちました。ジャコビニ・チンナー彗星はぎょしゃ座を離れてふたご座へ入りました。双子の兄弟、兄カストルの足元付近にあります。東京で3時ごろですと、おうし座β星の真下へ9.5度離れたところにあります。双眼鏡でβ星を視野に入れてスーッと下方向へ移動すると、彗星が視野に入ります。
今日も彗星は M35という散開星団の近くにあります。M35は大型で明るい散開星団ですから、双眼鏡でも簡単に確認できます。間隔が1度ほどしかありませんので、双眼鏡なら確実に同一視野におさまります。ジャコビニ・チンナー彗星の方が小型で暗いですし、M35の左上にありますので、位置関係から見分けてください。
引き続きジャコビニ・チンナー彗星は、夜明け前に東の空に見えます。東京では0時半過ぎに月が沈みますから月明かりもなく、彗星観測には良い条件が続いています。しかし、ひと頃と比べると、高度が少し下がってきました。
今日はふたごの兄弟、弟ポルックスの足元付近にあります。彗星が3.6度まで近づく
ふたご座γ星は2.0等星と明るいですから、この星からたどるのが良さそうです。10倍くらいの双眼鏡なら同一視野で、楽に見つけられますよ。
今日は彗星観測するのに最悪の日です。というのも今日は満月で、一晩中大きな月明かりの影響を受けてしまうからです。しかもジャコビニ・チンナー彗星は7.1等と、少しずつですが暗くなり始めています。
彗星を探すのは、今日もふたご座γ星からたどるのがよさそうです。しかし5日前と比べると、間隔が7.6度と開いてきました。双眼鏡でγ星を視野に入れて右下へ大きくずらすと、ぼんやりしたジャコビニ・チンナー彗星が見つかります。
ジャコビニ・チンナー彗星を見つけるにはコツがありますので、何点か紹介します。
まず、何をおいても空が暗い場所から見ることです。彗星は淡い天体ですから、街灯やネオンサインなど人工の光は大敵です。見え方に大きく影響しますので、できるだけ人工の光が少なく空が暗い場所から観測するようにしてください。
今回ジャコビニ・チンナー彗星は、北東から東の方角に見えます。ビルや高い木などの遮蔽物がない場所からご覧になってください。
彗星は淡い天体です。恒星とは違い、光が拡散してぼんやり光りますから、見え方に注意してください。
夜空は大きくて広いですから、当てずっぽうで見ても、なかなか目的の天体をとらえることができますせん。あらかじめ星の配列や位置関係など、彗星が見える位置をよく頭に入れておきましょう。
それでは、ジャコビニ・チンナー彗星が見つかりますように！
