2種類の尾

 彗星は「ほうき星」と言われることがあるように、尾は彗星につきもののように思われるかもしれません。しかし、肉眼で見えるほどにまで尾が成長するのは、かなり明るくなった大彗星の場合に限られます。尾が発達しないで丸くぼんやりとした形の彗星の数の方が圧倒的に多いのです。一般に大彗星の場合、2種類の尾が形成されます。

イオンテイル

 尾のひとつはイオンテイルまたはプラズマテイルと呼ばれるものです。こちらはガスがプラズマ状態となってできた尾で、蛍光灯のような原理で光ります。太陽からの太陽光圧(光による圧力のようなもの)によって流され、太陽と反対方向へまっすぐに伸び、青白い色を放ちます。アオンテイルは写真撮影するとよく写りますが、肉眼では少しわかりにくいことがあります。イオンテイルはタイプ1の尾(タイプIの尾)と呼ばれることがあります。

ダストテイル

 もうひとつの尾はダストテイルと呼ばれるもので、彗星からまき散らされたチリが太陽光を反射して光ります。一般的には肉眼の場合はダストテイルの尾が見えやすくなります。ダストテイルは太陽風(太陽から放射される電子や陽子の流れ)によって流され、彗星の進行方向と反対側に見えるのが特徴です。ダストテイルは、曲線状にカーブして見えることもあります。ダストテイルはタイプ2の尾(タイプIIの尾)と呼ばれることがあります。