3年ぶりに全国で皆既月食 2018年1月31日

 2018年は皆既月食が、1月31日と7月28日に2回も見られる豪華な年です。このうち1月31日は3年4ヶ月ぶりの皆既月食となり、日本全国で条件良く見ることができます。月食に関する一般的な説明は、月食トップページからご覧ください。

今回の皆既月食の特徴

 今回の皆既月食の特徴を総じていうと、非常に好条件ということです。これほど条件が良いのは2029年1月1日までありません。

見やすい時間帯

 1月31日に見られる皆既月食の特徴は、夜の前半に皆既となり、見やすい時間帯に起こることです。子供さんでも、オレンジ色か赤銅色にほんのりと光る、皆既月食独特の美しい月が楽しめるでしょう。

日本全国で全経過を観察できる

 しかも今回は、日本全国で開始から終了まで、月食の全経過を観察することができます。NASAが提供する月食図を見ると、日本は全経過が見られることを示す白い領域にあります。
 
 それに加え、最大食時に月が天頂で南中する「*印」に日本が近いため、薄明中や地平線ギリギリとかではなく、暗夜に高い高度で余裕をもって観察することができます。

月食図(NASA提供)

十分な皆既継続時間

 下の図は、月が地球の影を通過する経路を示したものです。最大食の頃は本影(赤い丸のエリア)へ完全に入り込み、皆既月食であることがわかります。食分は1.32 と大きく1を超え、皆既月食として申し分ありません。そこそこ本影の奥を通過しますから、皆既継続時間が1時間17分とたっぷりあります。

地球の影を通る月の経路(赤道座標系)

ブルームーンが皆既月食

 1月31日は今月2度目の満月です。同じ月に起こる2度目の満月のことをブルームーンといいます。ブルームーン自体はそれほど珍しいことではありませんが、ブルームーンが皆既月食となると話は違ってきます。つるちゃんが調べたところ日本でブルームーンが皆既月食となるのは、1982年12月30日以来、35年ぶりのことです。
 
 次回は2028年12月31日(世界標準時刻)というのがありますが、日本では皆既の時間帯が翌日1月1日になり、月が変わってしまいます。これを除くとその次は2037年1月31日ですから、今から19年後の話になります。

大きな満月の皆既月食

 今年は1月2日がスーパームーンでした。今回はその次の満月ということで、年間を通して2番目に大きな満月となります。皆既月食の最大食を迎える22時半頃、東京と月の距離は36.02万Kmで、視直径は33.7分もあります。1月2日同時刻の35.70万Km、34.0分にはおよびませんが、普段よりも大きな満月の皆既月食となるのは間違いありません。

月の大きさ変化を表すグラフ(2018年)


※1月末は今年2番目に大きな月となることがわかる。

月食の時刻表

 今回見られる皆既月食の時刻を表にまとめました。本影による部分食の始まりは1月31日の20時48分、皆既の始まり21時51分、皆既の終わり23時8分、本影による部分食の終わりは2月1日の0時12分などとなっています。

半影食の始まり  1月31日  19時49.8分
部分食の始まり      20時48.1分
皆既の始まり 21時51.4分
食の最大 22時29.8分
皆既の終わり 23時08.3分
部分食の終わり 2月 1日   0時11.5分
半影食の終わり 1時10.0分
最大食分  1.321

欠け方

 月食の魅力の一つは、月が少しずつ欠けていき、その後元に戻っていく様子を観察できることでしょう。

場所によらず同じ割合で欠ける

 日食と違って月食では、時刻が同じなら地球上のどこから見ても、欠ける割合が同じです。欠ける方向は異なりますが、日本国内ではそれほど大きな違いはありません。詳しくは、場所による月の欠け方の違い|2018年1月31日の皆既月食をご覧ください。

前半の欠け方

 下の画像は皆既が始まるまで、月食前半の欠け方を10分間隔で示したものです。
 
 最初は月の左下から欠け始めます。次第に欠け方が大きくなりますが、左下が欠けた状態が続きます。食分が0.5となり、直径の半分が欠けた状態になるのは、21時18分ごろです。この頃から月がなんとなく、普段よりも暗いと感じるようになります。食分が0.8を超える21時38分頃は、月全体がだいぶ赤味を帯びてきます。
 
 食分が0.95を超える21時48分頃は、月の右側のごく一部だけが細長く光ります。普段見られる三日月とは違った形をしており、月食でしか見ることができない独特の欠け方です。そして、21時51分に光る部分がなくなって、皆既月食が始まります。 

東京で前半の欠け方(10分間隔)


※左下から欠け始め、最後は右端が細く残る。これが消えると皆既月食!

皆既中の月

 皆既月食中は月全体がほんのりと赤みを帯びて、なんとも言えない美しさです。しかし、色や明るさは毎回異なりますので、その時になってみないとわかりません。それから皆既中といえども、地球本影の端に近い部分が少し明るく光るのが印象的です。

皆既中の写真

後半の欠け方

 下の画像は皆既が終わる少し前から月食終了まで、後半の欠け方を10分間隔で示したものです。
 
 23時8分になると1時間17分続いた皆既月食が終わり、月の左下が光り始めます。これ以降、左下側が光って右上側が欠けた状態が続きます。23時42分の図では食分が0.5を切っており、半分以上が復帰しました。以降も丸い満月の形を取り戻していきます。そして最後は、月の右上端から地球の影が抜けて、月食は終了します。

後半の欠け方


※復帰は左下から始まる。最後に右上から地球の影が抜けて終了。

月食が見える位置

 開始、最大食、終了の際に、東京で見える月の位置と夜空の様子を図示します。観測地点によって見え方が少し異なりますので、月食が見える位置|2018年1月31日の皆既月食を別ページで用意しました。そちらもご覧ください。
 
 東京では下の画像のように東の方角、空の中ほどで開始します。このとき東京での高度は45度です。月食の進行とともに、月は右上方向へ移動しながら高度を上げていきます。東京で皆既が始まるときの高度は57度、皆既が終わるときは68度もあり、またとない好条件です。復帰が始まってから東京では23時58分に月が南中し、真南にやってきます。その13分後に高度71度という高い位置で月食が終了します。

東京で月食が始まる頃に月が見える位置


※東の方角、空の中ほどで月食スタート。星座でいえばかに座。

最大食のころ


※皆既月食中は南東の高い位置。満月の強烈な光がなくなり、星の輝きが復活。

終わりごろ


※ほぼ真南で高度が70度を超える。夜空が満月に照らされて、星座は見づらくなった。

皆既月食の楽しみ方

 久しぶりに見られる皆既月食ですから、次のような点に注意して楽しみましょう。

色の変化は皆既月食ならでは

 皆既月食中に見られる月の色は普段と違います。食分が小さいうちは気づきませんが、食分が0.5を超えたあたりから何となく色あせてきて、その後は次第に赤味を帯びてきます。そして、皆既となる頃はオレンジ色や赤銅色、または赤黒い色などに変化し、なんとも言えない美しさです。
 
 皆既中の色は毎回異なり、オレンジ色から灰色までさまざまです。また、時間によっても変化しますから、色の違いを楽しんでください。

皆既中の明るさ

 皆既中の月の明るさは、本影の中心に近い側は暗くなり、端に近い側は明るくなります。また、時間の経過とともに刻々と変化していきます。
 
 それから皆既中の月の明るさは、毎回異なります。火山の爆発によって大気中に火山灰が大量にまき散らされたり、月が地球の影の中心に近いところを通ると、暗い月食になる傾向があります。
 
 昨年は3月にカムチャッカ半島、10月にコスタリカ、11月にバリ島で大規模な噴火がありました。果たしてこれが、皆既月食の明るさにどの程度影響するでしょうか?

ぼやけた欠け際

 日食とは違い、月の欠け際はぼやけてはっきりしません。これは地球の大気によって太陽光が分散し、地球の影の境界がはっきりしなくなるためです。「大気を持った地球の影が月に映し出されているんだ」と思いながら欠け際を観察すると、大自然のドラマを感じます。

月食中、欠け際の写真

ターコイズフリンジ

 皆既月食中や皆既となる直前・直後に、狭い幅で青色や青緑色の部分が見られることがあります。これをターコイズフリンジ(またはブルーバンド、ブルーフリンジ)と言います。ターコイズフリンジは2011年の皆既月食の頃から注目され始めましたので、話題としては比較的新しいものです。
 
 地球大気上空にあるオゾン層を通過した光は青味がかった色をしており、これが月面上に投影されたのがターコイズフリンジです。地球本影の端のあたりに青味がかった帯が見られるか、確認してみましょう。写真撮影するとわかりやすいようですよ。

双眼鏡や天体望遠鏡で観察

 皆既中の美しい月をじっくり観察しようと思ったら、やはり天体望遠鏡に勝るものはありません。といっても天体望遠鏡は大掛かりになってしまいますから、双眼鏡をお持ちの方はそれでもよいでしょう。
 
 肉眼で見た場合よりも大きく拡大されて細かい部分が見えますから、感動の度合いが違います。特に天体望遠鏡を通して見た皆既中の月は、同じ月面上でも場所によって色合いや明るさが違っているのがハッキリとわかり、格別なものがあります。肉眼よりも双眼鏡。双眼鏡よりも天体望遠鏡がオススメです。

見えないクレーター

 天体望遠鏡を使って欠け際を観測してください。いつものようにクレーターが見えるかと思いきや、ほとんど見ることができません。これは、月食中の月はあくまでも満月だからです。太陽光が月の正面から当たって影ができないため、クレーターが立体的に見えないのです。

半影月食がわかる?

 半影とは、地球が作る影のうち、太陽光の一部が届く影のことです。半影月食を肉眼で見てもなかなか気づきませんが、方法はあります。本影月食(いわゆる月食)が始まる少し前ごろ、欠け始める方向に注目しましょう。なんとなく薄暗くなっていませんか。これは半影月食になっている証拠です。

半影月食の写真

 下の図は月食開始5分前、20時43分における月の位置を示したものです。本影は赤いエリアで、半影は薄い黄色で示されています。本影に近い月の左下部分と、まだ半影にも入っていない右上部分を見比べてくださいね。

月食開始の5分前(地平座標系)


※本影に近い部分が少し暗く見えるのを確認しましょう。

弱まる月明かり

 満月ごろの月明かりは強烈ですから、暗い星はよく見えません。しかし、皆既月食になると月の光が弱まって、星座が見えるようになります。皆既は1時間以上続きますから、ついでに星座も楽しんでみられてはいかがでしょうか。

皆既中の夜空(南東の空)


※月はかに座にある。左下にはしし座、右側には冬の大三角も。

見る場所

 今回の月食は比較的空の高い位置で起こります。したがって、周囲に高い木やビルなどがなければ、皆既月食をご覧になることができます。欠け始めの頃が高度が一番低いですから、特に東から南東方向に注意してください。
 
 それから昼間と違って夜間になりますので、身の安全には十分気を配って見る場所を選んでください。夜になると雰囲気が変わって危険な場所もあります。当日になって慌てないよう、あらかじめ夜間に下見をしておきましょう。

次回の皆既月食

 次回は2018年7月28日の明け方に皆既月食が見られます。北海道など一部地域では皆既月食となる前に月が沈んでしまいますが、その他の地域では皆既状態のまま月が沈みます。おまけに日の出に近く、条件的には良くありません。
 
 次回、皆既月食を条件良く見られるのは、夕方にきわどい皆既月食となる2021年5月26日です。しかし皆既継続時間が20分に満たず短いため、そちらの面では条件が良くありません。

※このページのシミュレーション画像は、自作ソフト「つるちゃんのプラネタリウム シェア版」に含まれる「つるちゃんの日食ソフト」プラグイン機能を使い、ΔT=69.2秒を入力して計算したものです。画像データは正確な予報と比較して、時間換算で10秒以内の誤差を含みます。