月食の用語

月食でよく使われる用語を簡単にまとめてみましたので参考にしてください。

位置角(P)

月の中心に対する地球本影の中心方向を、天の北極から反時計回りに測った角度のことです。略号としてPが使われます。

月出帯食

げつしゅつたいしょく。月の出となる前に月食が始まっており、月が欠けたままの状態で昇ってくることです。

月食図

ある月食がどの範囲で見ることができるかを地図上で示したものを月食図といいます。月食図を見ると、月食を全て見ることのできる地域、月が欠けたまま沈む地域、といった情報もわかります。

月没帯食

げつぼつたいしょく。月の入りとなった後に月食が終了し、月が欠けたままの状態で沈むことです。

食の最大

ある月食で最も食分が大きくなった状態のことをいいます。食甚や最大食とも呼ばれます。

食分

月食の際、月がどの程度欠けているかを数字で表したものです。通常は地球の本影による欠け方を表しますが、時には地球の半影による欠け方を表すこともあります。食分0は欠けていない状態で、食分1は全て欠けた状態です。食分1以上は皆既月食となります。食分は次の式で計算されます。

  ( (地球の影の視半径) + (月の視半径) − (地球の影の中心と月の中心の角距離) ) ÷ (月の視直径)

第1接触

月食開始の際に月と地球本影の縁が接する瞬間を指します。いわゆる月食開始のことです。

第2接触

皆既月食の開始時に月が地球本影の縁に内側で接する瞬間を指します。いわゆる皆既月食の始まりです。部分月食の場合は第2接触はありません。

第3接触

皆既月食の終了時に月が地球本影の縁に内側で接する瞬間を指します。いわゆる皆既月食の終わりです。部分月食の場合は第3接触はありません。

第4接触

月食終了の際に月と地球本影の縁が接する瞬間を指します。いわゆる月食終了のことです。

ダンジョンスケール

皆既月食中の月の明るさや色合いは毎回異なります。これをフランスの天文学者ダンジョンがひとつの尺度としてランク付けしたものがダンジョンスケールです。このページでの説明用として、国立天文台資料のタイトル部を手直ししたものを以下に掲げます。

ダンジョンスケール 月面の様子 月の色
0 非常に暗い食。月のとりわけ中心部は、ほぼ見えない。
1 灰色か褐色がかった暗い食。月の細部を判別するのは難しい。 灰色またはこげ茶色
2 赤もしくは赤茶けた暗い食。たいていの場合、影の中心に一つの非常に暗い斑点を伴う。外縁部は非常に明るい。 暗い赤
3 赤いレンガ色の食。影は、多くの場合、非常に明るいグレーもしくは黄色の部位によって縁取りされている。 明るい赤
4 赤銅色かオレンジ色の非常に明るい食。外縁部は青みがかって大変明るい。 オレンジ

天頂角(V)

月の中心に対する地球本影の中心方向を、天頂から反時計回りに測った角度のことです。略号としてVが使われます。

半影

地球が作る影のうち、太陽からの光が一部届いている影の部分を半影といいます。この中に月が入っても肉眼では月が欠けているのを確認するのは難しいでしょう。

本影

地球が作る影のうち、太陽からの光が届かなくなる影の部分を本影といいます。肉眼で見ると本影に入った部分は欠けて見えます。地球の大気のために本影の縁はぼやけています。ですから日食のように月食開始時刻や終了時刻を正確に測定することはできません。また、本影は幾何学的に計算された値よりも2%ほど大きく広がっていると言われています。