彗星の見つけ方

 ここでは、彗星を見つけるための方法や注意点を解説します。

彗星のマメ知識

彗星=尾のある天体?

 彗星といえばほうき星。ほうき星といえば尾の生えた天体というイメージがありますが、必ずしも彗星に尾があるとは限りません。むしろ、尾の見えない彗星の方が圧倒的に多いといってもよいでしょう。
 一般に彗星は太陽に近づくと表面が熱せられ、ガスやチリが噴出してコマと呼ばれる薄い層が形成されます。さらに太陽へ近づくと、彗星の表面はさらに熱せられて激しく活動を始め、次第に尾が形成されていきます。ですから、活動の弱い彗星や小さな彗星には尾はありません。

遠くからやってくる彗星

 彗星のように現れるという表現がありますが、突然現れる彗星はいったいどこからやってくるのでしょうか。それはオールトの雲と呼ばれる彗星の巣のような場所が太陽系の果てにあって、彗星はそこからやってきます。その距離は太陽と地球の距離の約1万倍から10万倍という途方もなく遠い距離で、太陽系を取り巻くように彗星が配置されています。それがなんらかの原因で太陽系へ引き寄せられて、はるばるとやってきたものが彗星だというわけです。

周期彗星

 オールトの雲を抜け出して太陽へ近づいた彗星は、偶然惑星のそばを通り過ぎる場合があります。これによって彗星の軌道が大きく変えられて、太陽の周りを回るようになることがあります。このような彗星は周期彗星と呼ばれ、一定の周期で太陽に近づきます。有名なハレー彗星も76年ごとに太陽へ近づく周期彗星のひとつです。

小さな天体

 長大な尾を持つ彗星の写真を見ると、彗星はさぞかし大きな天体だろうと思われるかもしれませんが、実はとても小さな天体です。普通の彗星だと、その直径は数キロほどしかありません。ハレー彗星は大型の彗星ですが、それでも16キロ×8キロ×8キロほどの大きさです。


彗星が見やすくなる頃

 先にも書いたように、彗星は太陽へ距離が接近するほど活動が激しくなりますので、太陽へ最も接近した頃、彗星は最も明るくなり、尾も発達します。しかし太陽へ接近し過ぎると、まぶしい太陽の光に彗星の弱い光はかき消されてしまって、その姿を見ることはできません。また、彗星が太陽に近づいていても、地球からみて遠く離れた位置にあると、その明るさは暗く見えてしまいます。

 1997年のヘール・ボップ彗星のような大型の彗星を除けば、一般に彗星が見やすくなるのは、彗星が太陽から少し距離が離れた頃の日の入り後か、日の出前になります。

彗星を探そう

 次に、実際に彗星を探す際の注意点などをあげておきましょう。

観測場所探し

 明るくなった頃の彗星は、一般に夕方の西の空、もしくは明け方の東の空の低い位置に見えるケースが多くなります。ですから、昼間のうちに西もしくは東の空の低空まで見渡すことができる場所を探しましょう。また、彗星の見える方角に遠くの街明かりや水銀灯などが少ない場所を選ぶようにします。明るい光があると、淡い彗星の光はこれらの光によってかき消されて見えなくなってしまうからです。

双眼鏡を準備する

 明るくなった彗星は肉眼で見ることのできる場合もありますが、なかなかそう簡単にはいきません。肉眼で見えるほどの大彗星はなかなか現れませんし、仮に現れたとしても、光害や月明かり、薄モヤなど、彗星を見えにくくする要因はたくさんあるからです。それらを乗り越えて肉眼で見ることができたとしても、やはり双眼鏡の威力にはかなわないでしょう。もし双眼鏡をお持ちでしたら、ぜひとも用意しておきたいところです。

目印となる星からたどろう

 非常に明るい彗星の場合だと、事前の準備なしに彗星を探し出すことができることがあるかもしれません。しかしながら、実際にそんなにうまくいくような彗星はほとんどないといってもよいでしょう。ですから、あらかじめ彗星の位置を確認しておく必要があります。

 そんな時には明るい星を目印に彗星を探しましょう。明るい星から暗い星へとたどり、次第に彗星の見える場所へと近づいていくわけです。星座がおわかりの方なら、何々座のこの辺りといえば、だいたいの位置を予想することができます。つるちゃんのプラネタリウムの読者の皆さんならきっと大丈夫ですよね!?

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女:わたし、つるちゃんのプラネタリウムはいつも見てるけど、星座なんてよくわかんなーい。
つる:ガーン!!
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当サイトトップページから、「つるちゃんのプラネタリウム for Javaアプレット」の中にある「万能プラネタリウム」で日付と時刻と観測地を指定し、彗星の見える位置を確認しましょう。
※明るい彗星が見える場合だけJavaアプレットに彗星が表示されます。

彗星の見え方 

星雲状にぼんやり見える

 彗星は恒星のように点ではなく、広がりのある面積を持った天体です。ですから、肉眼で見ても天体望遠鏡で見ても、星雲状にぼんやりと広がって見え、小さくて丸い雲の切れ端のように見えます。

 一般に「彗星が2等星の明るさで見える」などと表現しますが、これは「彗星全体の光を1箇所に集めたとしたら2等星の明るさに見える」という意味です。ですから、部分的に見れば彗星は2等星よりもかなり暗くなってしまい、想像した以上に見えづらいものです。注意しましょう。

核とコマ

 天体望遠鏡で彗星を拡大してみるとわかるのですが、彗星の中心部分には小さくてひときわ明るく輝く部分が見えます。これはと呼ばれており、彗星の本体になります。そして核を取り巻くようにぼんやりとした光の塊はコマと呼ばれます。コマは核から放出されたガスやチリによってできたもので、太陽の光を反射して輝いて見えます。

 肉眼や双眼鏡だと難しいのですが、天体望遠鏡で見る機会があれば、核が見えるかどうか注目してみてください。また、コマの部分も小さな筋や細かい模様のようなものが見えることがあります。例えばヘール・ボップ彗星の場合には、コマの部分に核を取り巻くように貝殻状のいく筋もの模様が見えた時期がありました。この辺も気をつけて見られるとおもしろいと思います。



 大彗星と呼ばれるような大きな彗星にはが見られますが、これもコマと同様、核から放出されたガスやチリによってできています。彗星の尾はダストテイルイオンテイルの2つのタイプが存在しますが、イオンテイルが肉眼で見えるほどの彗星はそんなに多くはないでしょう。しかし、空が十分に暗い場所で観測すると、2本の尾がV字型に伸びている様子がわかることがありますので、この点にも注意されるとよいと思います。

 尾が発達した大きな彗星の場合、尾の生えた彗星らしい姿を見たいと思うなら、倍率の高い天体望遠鏡よりも、むしろ倍率の低い双眼鏡の方がおすすめです。倍率が高くなるとそれだけ視野(見える範囲)が狭くなり、彗星全体の姿を見渡すことができなくなるからです。


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