金星の見つけ方

 ここでは、金星の見つけ方や、天体望遠鏡で金星を見る場合のポイントなどを解説します。

金星金星のマメ知識

地球の隣の惑星

 金星は地球の軌道のすぐ内側を回る惑星です。太陽−金星の距離は地球−太陽の距離の0.72倍です。地球の外側を回る火星の場合は1.52倍ですから、金星は地球に最も接近する惑星ということができます。
謎の惑星

 地球の半径は6378Kmであるのに対して金星の半径は6052Kmと地球によく似ています。平均密度も地球が5.52g/cm3であるのに対して金星は5.20g/cm3と似通っています。しかも地球のお隣の惑星ということで、金星は地球の兄弟惑星のように思われた時期もありました。

 地球から金星を観測すると、まばゆく輝く以外にこれといった特徴はつかめません。それというのも、金星は暑い雲に覆われているため、表面の様子はまるでわからないのです。このため金星はお隣の惑星であるにもかかわらず、長い間謎の惑星とされてきました。金星は自転をしていないのではないかという天文学者まで現れたくらいです。

雲の正体

 現在では、雲の主成分は二酸化炭素であることがわかっています。そして雲の内部では濃硫酸の雲が形成され、濃硫酸の雨が降っているのです。恐ろしい話ですね。ただし、この雨は途中で蒸発してしまうので、地表に到達することはありません。また、雲の厚さがあまりにも厚いため、地表での気圧は90気圧(地球の90倍)にも達します。90気圧といえば、約900メートル海に潜った時にかかる圧力に相当します。このすごい気圧のため、初めて金星を訪れた探査機は圧力に耐え切れずに押しつぶされてしまったそうです。

金星の表面のようす天国と地獄

 金星の大気の主成分は二酸化炭素であるため、温室効果によって金星の地表の温度は470度にも達しています。濃硫酸の雨に90気圧の大気。そして鉛も溶けるほどの高温。金星は地球の兄弟惑星どころか、天国と地獄ほどの違いがあります。

金星の自転

 金星の自転はちょと変わっています。自転周期は243日と非常に長く、公転周期の225日よりも長くなっています。しかも地球の自転とは逆向きですから、金星では太陽は西から昇って東へ沈むことになります。

天文ソフト つるちゃんのプラネタリウムでは、金星から見た星空を再現することができます。
 ※1.[モード]−[別の惑星]から金星を選択する。
   2.[設定]−[シミュレーション]−[別の惑星]を選んでOKボタン。
   3.どう、星は西から東へ動いてますね。


金星の詳しいデータ

 木星に関する詳細データは、「天文用語ミニ解説」の中にある次の項目を参照してください。

    惑星の諸元表


宵の明星、明けの明星

 地球から見た金星は非常に明るく、その明るさは最大でマイナス4.7等に達します。金星は夕方か明け方に見えるので、夕方に見える場合は宵の明星、明け方に見える場合は明けの明星と呼ばれて親しまれています。ひとつの星としてはあんまり明るいので、「謎の飛行物体では?」と勘違いする方も中にはおられるようです。

金星を探そう

 金星はマイナス4等級で輝く明るい星ですので、他の星と見間違うことはないと思います。しかし、次の点に注意する必要があります。

夕方か明け方にしか見えない

 金星は地球の軌道の内側を回る内惑星ですから、真夜中に南中することはありません。太陽から最も離れたときでも47度しか離れないのです。言い換えれば、金星は夕方の西の空か、明け方の東の空でしか見ることはできません。

つるちゃんのプラネタリウム for Javaアプレットの中にある「内惑星の位置」で、日の出日の入り時刻に金星がどの方角に見えるのかを調べてみましょう。

※惑星を金星に変更してください。

観測場所探し

 金星が明け方に見える場合は東の方角、夕方に見える場合は西の方角が開けた場所を探しましょう。金星はとても明るいので、多少の街明かりの中でも見ることはできますが、できれば街灯などの明かりが少ない場所へ移動した方がよいでしょう。

見てみよう!

 日の出直前や日の入り直後は、まだ空が明るいので、さすがの金星も簡単に見つけることができません。空が薄暗い頃をねらって見るようにします。ピカピカに光っている星がすぐに見つかることでしょう。それが金星です。

「つるちゃんのプラネタリウム for Javaアプレット」の中にある万能プラネタリウムで、金星の見える方向や高度を調べておけば万全でしょう。


天体望遠鏡で見てみよう

 次に金星を天体望遠鏡でのぞいてみましょう。

どんな望遠鏡が良い?

 金星の場合、天体望遠鏡でのぞいても表面の様子はさっぱりわかりません。これは大型の天体望遠鏡でのぞいた場合でも同じことがいえます。先にも説明したように、金星はいつも厚い雲に覆われてているからです。ですから金星を見るということに限っていえば、天体望遠鏡ならどんなものでもよいと言っておきましょう。

金星を見る倍率

 金星の場合は表面模様は見えませんので、その形を観測することになります。形を見るだけでしたら50倍から100倍くらいの倍率をかければ十分でしょう。

形の変化を観測しよう

 金星は内惑星ですから、三日月のような形から満月のような形まで大きく変化します。また、形の変化(満ち欠け)にあわせてその大きさも変化します。なぜ形や大きさが変化するのかは、「みんなで星のお勉強」の中にある金星の満ち欠けを参考にしてください。

「つるちゃんのプラネタリウム for Javaアプレット」の中にある惑星の満ち欠けで、金星の形や大きさの変化を調べてみましょう。
※調べる際には惑星を金星に変更してください。

こんな観測もあるよ

 金星は惑星ですから、恒星と違って面積を持ちます。ですから、金星の大きさが大きくなった頃を見計らって、次のことを試してみましょう。

1.金星と同じ方向に見える遠くにある電線をみつけます。
2.恒星が電線の上を通り過ぎると、一瞬消えて見えなくなります。
3.金星の場合は電線の上を通りかかっても金星は消えることなく光り続けます。
4.このことから、金星は大きさを持つ天体であることがわかります。


つるちゃんのプラネタリウム 惑星の見つけ方