アケルナルは天球の南の方に位置しています。このためカノープス以上に日本からは見えにくい星です。右の星図は鹿児島から見たアケルナルです。初冬の頃の夜、鹿児島の場合では、南中時でも1.2度の高度しかありません。大気差(地球の大気による浮き上がり現象)を考慮しても、アケルナルの高度は1.7度ほどですから、いかに見えにくい星であるかがわかります。
しかし南半球へ行くと、アケルナルは0.5等星の明るさで輝く素晴らしい星です。
星名 | 学名 | 星座 | バイヤー符号 | フラムスティード番号 | 赤経 | 赤緯 | 実視等級 | 絶対等級 | 距離 | スペクトル型 |
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アケルナル | Achernar | エリダヌス座 | α星 | なし | 01h37m43s | −57゜14’12” | 0.50等 | −2.66等 | 139光年 | B5 |
アケルナルのあるエリダヌス座はギリシャ神話に出てくる大きな川です。エリダヌス座は、オリオン座の足元付近から小さな星がつながって、右へ左へ大きく蛇行しながら南下していきます。その最南端にある1等星がアケルナルです。アケルナルの意味は「川の果て」というのもうなづけることと思います。
ヨーロッパ南天天文台による観測によると、アケルナルは非常にぶれた楕円形をしていることがわかりました。実際の大きさは、長軸の直径は太陽の直径の12倍、短軸の直径は太陽の直径の7.7倍もあります。アケルナルは秒速250Kmというものすごい速さで自転しており、遠心力のために大きくつぶれた楕円形をしているのです。
また質量は、太陽の6.8倍もある重い星です。表面温度は約2万度と高温星であることもわかっており、地球からは青白く見えます。
地球自転軸の歳差運動により、紀元前3000年ごろのアケルナルは、天の南極から7.4度しか離れていない位置にありました。ですから当時、アケルナルは天の南極星として君臨していました。シドニーから5000年前に見た下の星図をみると、アケルナルは天の南極に近い位置にあったことがわかります。