アルファードはオレンジ色をした2等星です。アルファードはフルファルドともいいます。
ちょうど春を迎えた頃の夜、南の空は全天で一番大きな星座であるうみへび座によって覆い尽くされます。うみへび座はギリシャ神話では勇者ヘルクレスも手を焼いたという、9つの頭を持ったヒドラとされています。アルファードは、そんなうみへびの心臓部分に位置する星です。
星名 | 学名 | 星座 | バイヤー符号 | フラムスティード番号 | 赤経 | 赤緯 | 実視等級 | 絶対等級 | 距離 | スペクトル型 |
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アルファード | Alfard | うみへび座 | α星 | 30番 | 09h27m35s | −08゜39’31” | 2.00等 | −1.71等 | 180光年 | K2 |
アルファード付近の星空を眺めてみますと、近くにこれといって目に付く星はありません。2等星のアルファードがひとりポツンと光っているような感じがします。アラビア語ではアル・ファルド・アル・シュジャーといいます。ファルドは「一つの」という意味を持つことから、「蛇の孤独な星」という意味になるのだそうです。なるほど、うまくつけた名前です。
アルファードが属するうみへび座はギリシャ神話に登場するヒドラですが、アルファードはヒドラの心臓に位置します。ラテン語ではコル・ヒドレとよばれ、まさにヒドラ(へび)の心臓です。この呼び名はデンマークの天文学者チコ・ブラーエが名づけたものだそうです。
双眼鏡などで見るとはっきりとわかるのですが、アルファードは普通の星よりも赤っぽく、オレンジ色をしています。これはもちろん表面温度が4400度しかなく、太陽の6000度よりも低いことによるものです。
アルファードは太陽から180光年も離れているのに2等星で見える明るい星です。仮に太陽をアルファードの距離まで遠ざけたとすると、8.5等星にしかなりません。アルファードは太陽の400倍もの明るさがあり、その輝きがいかに素晴らしいものであるかがおわかりいただけるでしょう。