アルコル(アルコア)

 おおぐま座の北斗七星を構成する7個の星のうち、ひしゃくの柄から2番目にある2.2等星の星はミザールと呼ばれています。このミザールにくっつくようにして見える4.0等星の小さな星がアルコルです。右の星図では、ミザールの左下に見える星です。アルコルはアルコアとよばれることもあります。

星名 学名 星座 バイヤー符号 フラムスティード番号 赤経 赤緯 実視等級 絶対等級 距離 スペクトル型
アルコル Alcor おおぐま座 なし 80番 13h25m14s +54゜59’17” 4.01等 2.02等 81.7光年 A5

アルコルの位置

目だめしの星

 ミザールとアルコルは角度にして12分ほど離れています。12分といえば、満月の半径よりすこし狭いくらいの間隔です。普通の視力の人が肉眼で2つの星に分離できる限界が1分(60分の1度)程度といわれていますから、両者の間隔は肉眼で見分けるためには十分です。
 
 ところでミザールとアルコルは、昔、アラビアの兵隊の視力検査に使われていました。この星が2つに分離できない兵隊さんの視力はあまり良くなかったといえるでしょう。しかし、以前と比べてアルコルは明るくなって分離しやすくなったという説もあります。あなたはミザールとアルコルを2つの星に分離することができますか。

アルコルとミザールの関係

 先に書きましたように、アルコルはミザールの近くに見えますが、実際は連星なのでしょうか。それとも偶然同じ方向に見えているだけなのでしょうか。ヒッパルコス衛星によって実際の距離を測定したところ、アルコルまでの距離は81.7光年で、ミザールまでの距離は85.8光年でした。両星までの距離は4光年ほど違っています。かなり距離がありますが、実際に連星なのかそうでないのか、結論はでていません。

アルコルのよび名

 アルコルはアラビア語で「淡いもの」「かすかなもの」を意味するアル・カワールからきています。しかし、かつて視力検査に使われていたことから、アル・サダク(テスト)ともよばれてきました。中国では輔星(ほせい)、日本では「そえぼし」や四十暮れ(しじゅうぐれ)とよばれることがあります。四十暮れは、四十を過ぎると視力が衰え、この星が見えなくなることからきています。また呉の漁師はじゅみょう星とよび、正月にアルコルが見えないと、その年の間に死んでいくのだと伝えられています。