ガーネット・スター

 ガーネット・スターはケェフェウス座の細長い崩れた五角形の底辺から、五角形の外側へ少しだけはみ出した位置にあります。
 ケフェウス座は天の北極に近い星座なので、時間を問わなければほぼ年中見ることができます。しかし宵の時間帯に見るためには、晩夏から初秋にかけてがよいでしょう。
 星の明るさは4等星ですから、都会の明るい空の下では見つけるのが難しい明るさです。

星名 学名 星座 バイヤー符号 フラムスティード番号 赤経 赤緯 実視等級 絶対等級 距離 スペクトル型
ガーネット・スター Garnet Star ケフェウス座 μ星 なし 21h43m30s +58゜46’488” 4.02等 −7.02等 3500光年 M0

ガーネット・スターの位置

ざくろ石

 この星は約2年ほどの周期で3.6等星から5.1等星まで明るさを変える変光星です。しかし、この星の特徴はなんといっても独特の色でしょう。はじめてこの星を見たウィリアム・ハーシェルは、あまりの深い赤さに驚いて「ざくろ石」、つまりガーネット・スターと名づけました。
 
 ガーネット・スターはあまり明るい星ではありませんから、肉眼でその色を確認するのは無理でしょう。しかし双眼鏡があると、その異常な赤さがわかります。赤というよりも紫に見えるような気がするくらいに赤い星です。双眼鏡をお持ちの方は、ぜひその赤さを味わってほしいと思います。

赤色超巨星

 ガーネット・スターの異常な星の色は、その表面温度が2千度しかなく、他の星よりもかなり低いことによります。ちなみに太陽の表面温度は6千度です。
 
 またこの星は、太陽から3500光年も離れた距離にあります(資料によって異なります)。それでいて4等星ほどの明るさに見えるのですから、相当に明るい星だといえます。それもそのはずで、ガーネット・スターは太陽の35万倍もの光を放っています。
 
 それからもうひとつ。この星は直径が太陽の1420倍もあるという、赤色超巨星でもあります。太陽の1420倍とひとことで言われても、ちょっと想像できないかもしれませんので、太陽系に当てはめてみましょう。太陽の位置にガーネット・スターを持ってきたとすると、木星の軌道をも軽く飲み込んでしまうほどの大きさです。途方もなく大きな恒星ですね。