南十字星からさほど遠くないところに、似たような明るさの1等星が2つ並んで光っています。そのうち南十字星に近い方の星がハダルで、ケンタウルス座β星になります。ハダルが属するケンタウルス座は、なにしろ南の方に位置する星座ですから、日本からは一部しか見ることができません。
赤緯が−60.4度のハダルを見るためには、単純計算で北緯29.6度よりも南にいかなければなりません。沖縄付近まで南下すれば見れなくはないのですが、沖縄の那覇でも南中高度は3度少々。ハダルをしっかり楽しむためには、やはり南半球の国へ出かけるしかありません。
星名 | 学名 | 星座 | バイヤー符号 | フラムスティード番号 | 赤経 | 赤緯 | 実視等級 | 絶対等級 | 距離 | スペクトル型 |
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ハダル | Hadar | ケンタウルス座 | β星 | 14h03m49s | −60゜22’23” | 0.60等 | −4.80等 | 392光年 | B1 |
ハダルのお隣に光る1等星はリギル・ケンタウルスといいますが、いわゆるケンタウルス座α星です。こちらは太陽から最も近くにある恒星としてよく知られており、その距離は4.4光年です。それと比べるとハダルの方は何かしら忘れられがちです。
ところが実際は、リギル・ケンタウルスよりも100倍近くも遠くにある星で、その距離は392光年にもなります。それでいてリギル・ケンタウルスよりやや暗い程度の0.6等星で輝いているのですから、ハダルがいかに素晴らしい恒星であるかがわかります。