おおぐま座の北斗七星を構成する7個の星のうち、ひしゃくの柄から2番目にある2等星がミザールです。北斗七星は北極星の近くにあるので、年中ほとんどいつでも見ることができるのですが、宵の空に北東の空から昇ってくるのは早春の頃です。
星名 | 学名 | 星座 | バイヤー符号 | フラムスティード番号 | 赤経 | 赤緯 | 実視等級 | 絶対等級 | 距離 | スペクトル型 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ミザール | Mizar | おおぐま座 | ζ星 | 79番 | 13h23m56s | +54゜55’31” | 2.27等 | 0.17等 | 85.8光年 | A2 |
2.2等星のミザールをよく見ると、すぐそばに4.0等星の小さなアルコルという星がくっついていることがわかります。この星は肉眼で見ることができる2重星として有名ですが、両者は偶然に同じ方向に見えているのか、重力的に影響し合っているのか、今のところはっきりわかっていません。
昔アラビアでミザールとアルコルは、目だめしの星として兵隊の視力検査に使われたのだそうです。
今度はミザールを天体望遠鏡でのぞいてみますと、14.4秒離れたところに4.0等星の伴星がくっついていることがわかります。こちらのペアは互いに重力の影響を及ぼしあっている連星です。この伴星はミザールBとよばれ、数千年かけて主星ミザールAの周りを回っています。ミザールは望遠鏡を使って初めて見つけられた連星で、ガリレオ・ガリレイの弟子であるベネデット・カステネリが発見したとされています。
さらにおもしろいことに、この2つの星はそれぞれが連星であることがわかっています。ですからミザールは4重星ということになります。
ギリシャ神話では、カリスト(母親)とアルカス(子供)が熊にされて天へ放り投げられた姿がおおぐま座とこぐま座とされています。ミザールはこのうち、おおぐま座のしっぽの部分にあたります。おおぐま座もこぐま座も、しっぽの長さがとても長いのですが、これは、天へ放り投げられた時にしっぽが長く伸びてしまったからなのだそうです。
春の星座の主な星をたどる方法のひとつに春の大曲線があげられます。春の大曲線は北斗七星の柄の部分にあるミザールを含めた3つの星からスタートします。