真冬の宵の空で東天を見上げると、空の中ほどで同じくらいの明るさの明るい星2つが縦方向に並んでいるのが目につきます。これはふたご座のカストルとポルックスです。このうち、ポルックスは下側の星になります。ポルックスはカストルに比べて少しだけ明るいのですが、その差は0.4等ほどしかありません。しかし、ポルックスは1.14等なので1等星に分類されるのに対し、カストルは1.58等星なので2等星に分類され、差がつけられています。
星名 | 学名 | 星座 | バイヤー符号 | フラムスティード番号 | 赤経 | 赤緯 | 実視等級 | 絶対等級 | 距離 | スペクトル型 |
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ポルックス | Pollux | ふたご座 | β星 | 78番 | 07h45m19s | +28゜01’34” | 1.14等 | 1.06等 | 33.8光年 | K0 |
ギリシャ神話ではカストルとポルックスは、大神ゼウスとレダとの間にできた2つの卵のうち、1つの卵から生まれてきた双子の兄弟です。カストルは兄でポルックスは弟になります。二人がアルゴ船に乗り込んでコルキスへ金の羊の毛皮を奪い返しに行った冒険の話は有名です。
弟のポルックスは不死身な体をしていたのですが、兄のカストルが戦いで亡くなると、ゼウスに頼んでふたごの星座にしてもらったのだそうです。カストルとポルックスは、今でも双子の兄弟の頭の部分で輝いています。
先にも書きましたように、カストルよりもポルックスの方が0.4等星ほど明るく、注意して見るとその違いがわかります。しかし、ポルックスのバイヤー符号はα星ではなくてβ星となっています。通常は星座の中で明るい星から順にα、β、と付けられているのですが、ここは弟のポルックスが兄のカストルに敬意を払ったというところでしょうか。
それではカストルとポルックスの実際の明るさをと比較するとどうなるでしょうか。10パーセクの距離から見た場合の明るさを示す絶対等級で比較してみましょう。カストルは0.6等星であるのに対して、ポルックスは1.1等星となり、今度は0.5等星の差でカストルの方が少しだけ明るくなります。
2006年6月にポルックスbという惑星が見つかりました。ポルックスbは木星の2.9倍の質量を持ったガス惑星ではないかと考えられています。太陽系に当てはめると、火星軌道付近をおよそ590日かけて公転しています。