初夏の早い時期に東の空からヘルクレス座が昇ってきます。ラス・アルゲティはヘルクレスの頭部に位置する3等星です。東の空ではラス・アルアルゲティのすぐ下に、へびつかい座の2等星ラス・アルハゲがあるので、位置的にはわかりやすいでしょう。ラス・アルハゲもへびつかいの頭部に位置しています。星座絵で見ると、二人の大男が顔を付き合わせたような格好が描かれており、面白いでしょう。
星名 | 学名 | 星座 | バイヤー符号 | フラムスティード番号 | 赤経 | 赤緯 | 実視等級 | 絶対等級 | 距離 | スペクトル型 |
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ラス・アルゲティ | Ras Algethi | ヘルクレス座 | α星 | 64番 | 17h14m24s | +14゜23’214” | 3.06等 | −2.15等 | 359光年 | K0 |
アラビア語のラース・アル・ジャーティーは、ひざまづく者の頭という意味です。ラス・アルゲティの名前はこれに由来します。事実、星座絵でみたヘルクレス座は、頭を下にして片ひざをついた巨人の姿が描かれています。
ラス・アルゲティは3.5等と5.3等の二重星です。アマチュアが使う小型の望遠鏡でも分離することができます。主星は赤色で、伴星は黄色をしています。しかし伴星は、緑色や青っぽい色に見えることがあり、美しい二重星となっています。
ラス・アルゲティは変光星で、2.7等から4.0等の間で明るさを変えています。赤色超巨星であるだけに星全体が不安定になっており、星全体が収縮して明るさを変える、半規則型の脈動変光星に分類されています。最も大きく膨らんだときは太陽直径の800倍もの大きさになり、火星をも飲み込んでしまうほどに膨れ上がります。
この星は1秒間に500兆トンものガスを宇宙空間へ放出しています。このため900天文単位も離れたところまでガスが広がっているのだそうです。