レグルス

 ちょうど春を迎えた頃、しし座が天高くに昇りつめています。レグルスは、このしし座の中にある白色の1等星です。しし座は形のわかりやすい星座なので見つけやすいと思います。

星名 学名 星座 バイヤー符号 フラムスティード番号 赤経 赤緯 実視等級 絶対等級 距離 スペクトル型
レグルス Regulus しし座 α星 32番 10h08m22s +11゜58’02” 1.40等 -0.53等 79.3光年 B8

レグルスの位置

小さな王

 レグルスは「小さな王」という意味ですが、これはラテン語のレックス(王)からきています。この名は地動説を提唱したコペルニクスが命名しました。
 
 その昔、ギリシャではバシリスコス(王者らしきもの)とよばれ、アラビアではアル・マリキ(王の星)とよばれました。

ししの心臓

 アラビア語でレグルスはカルブ・アル・アサドといいます。アサドはライオンを指し、カルブは心臓を意味します。つまり、アラビア語の世界では「ししの心臓」というわけです。
 
 他にはラテン語に起源を持つコル・レオニス(獅子の心臓)というのがあります。

ししの大がま

 しし座はギリシャ神話ではネメアの谷に住みついた人食いライオンとされています。このライオンの顔から前足にかけては、星が?マークを裏返したような形に並んでいます。これはししの大がまと呼ばれており、レグルスはししの大がまの一番下の部分(南側)に位置します。

最も暗い1等星

 全天で1等星は21個あるのですが、レグルスはこの中で最も暗い1等星です。レグルスの明るさは1.4等星ですが、それでも1等星は1等星。やはり付近では一番目立った星であることに違いはありません。

天の黄道上にある1等星

 レグルスは天の黄道上にあるとともに、天の黄道から最も近くに位置する1等星です。このため時おり月がレグルスの上を通り過ぎて、レグルス食が起こります。また2044年10月2日の朝には、金星がレグルスの上を通り過ぎるという、非常に珍しい現象が起こります。

レグルスの実態

 レグルスの実態は、太陽直径の3.8倍の大きさがあり、太陽の360倍もの明るさで輝く星です。この星は自転速度が速く、自転周期は地球の1日よりも短い15.9時間しかありません。このため赤道付近の回転速度は300Km/秒 近くに達し、赤道半径は極半径より30%も膨らんでいることがわかっています。またレグルスは、二つの二重星が互いに回りあう四重星として知られています。