トラペジウム

 オリオン座が南中する頃、オリオン座の三つ星の下側に、小さな3つの星が縦に並んでおり、小三つ星と呼ばれています。小三つ星の真ん中の星は、実は星ではなくてオリオン大星雲です。トラペジウムはオリオン大星雲の中心部にある5等星です。

星名 学名 星座 バイヤー符号 フラムスティード番号 赤経 赤緯 実視等級 絶対等級 距離 スペクトル型
トラペジウム Trapezium オリオン座 θ1星 41番 05h35m16s −05゜23’23” 5.13等 −3.53等 1763光年 Oe5

トラペジウムの位置

6重星

 トラペジウムを最初に発見したのはクリスティアン・ホイヘンスです。彼はこの星を三重星と考えていました。しかしトラペジウムを天体望遠鏡で見てみると、青白い4つの星が台形に並んだ4重星であることがわかります。このことは小さな天体望遠鏡でも確認することができます。トラペジウムの名前は4個の星が台形(トラペゾイド)状に見えるところからきています。
 
 さらに、非常に大きな天体望遠鏡でトラペジウム見ると、なんと6重星であることがわかるそうです。すごい星があるものです。
 
 現在ではおよそ300個の星からなる散開星団の一部であり、その大部分が褐色矮星であることがわかっています。

オリオン大星雲とトラペジウム

 トラペジウムはオリオン大星雲の中心部付近に見えますが、これは偶然ではありません。実はオリオン大星雲はトラペジウムによって照らし出され、雲のように輝いて見えているのです。トラペジウムは地球から見ると5等星にしかなりませんが、その距離は1700光年もあります。ですから本当は、絶対等級が−3.5等星にも達する素晴らしい星なのです。
 
 オリオン大星雲の中からは、次々と新しい星が誕生しています。それらの星の特徴は、白色か青白色をした高温星だということです。オリオン座の星たちの多くは、オリオン星雲の中から誕生したもので、トラペジウムもそういった星のひとつです。