ホワイトデーに見る星空 2003年

 バレンタインデーが終わったと思ったら、もうすぐホワイトデー。この特集を作るのはよそうかと思ったのですが、全国の恵まれない男性のために、あえてサラッと作成しました。内容的には「バレンタインデーに見る星空」と大差ありませんが、ブーブー言わないでください。それでは星空のことを勉強して、彼女にいいとこ見せてね。

(一番恵まれてないのはお前やろがー)
つる:−−>うるさいっ(泣)。


南の空(20時)

ホワイトデー、20時半頃の南の空

2003年ホワイトデーの月

遅くなってきた日没

 冬の夜は長くて寒いとずっと思っていたのに、ホワイトデーの頃になると、夜の長さが次第に短くなってきます。それもそのはず、1週間後の3月21日には春分の日がひかえています。知らない間に、春はもうすぐそこまで来ていました。

 日没時刻の方も日増しに遅くなってきていて、日本標準時刻の明石の場合では、バレンタインデーの日には17時42分だったのが、ホワイトデーの日には18時6分となり、24分も遅くなっています。当然空が完全に暗くなる時間(天文薄明の終わり)も遅くなり、明石の場合では19時半頃になってようやく暗くなり、ここからが星空ウォッチングのスタートとなります。


月を見よう

 先月のバレンタインデーに引き続いて、この日も大きな月が夜空を照らしています。それというのも、2月14日のバレンタインデーから数えると、3月14日のホワイトデーは28日目にあたります。月の公転周期(地球の周りを回るのに要する日数)は29日あまりですから、バレンタインデーの日に見た月と同じような月が見えるのは当然といえます。

 もし双眼鏡をお持ちでしたら、ちょっと引っ張り出して月をのぞいてみてください。特に欠け際に注意しましょう。倍率にもよりますが、7倍くらいの双眼鏡でもデコボコのクレーターをたくさん見ることができますよ。

 
男:ほら、双眼鏡で月を見てごらん。クレーターがたくさん見えるよ。
女:わー、すごーい!
 

彼女の気分が盛り上がるのは間違いありません。

冬の大三角を見つけよう

 ホワイトデーの20時頃には冬の星座が南西の空に見えています。中でも有名な星座がオリオン座でしょう。鼓の形に似たその星の配列は、見事としか言いようがありません。オリオン座には1等星が2つありますが、右下の白い星はリゲル、左上の赤い星はベテルギウスといいます。

 このベテルギウスをひとつの頂点として、左側にある明るい星3個をつなぐと大きな逆三角形ができますが、これが冬の大三角です。ベテルギウスと同じくらいの高度に光る黄色い1等星はこいぬ座のプロキオン、下側にある際立って明るい星はおおいぬ座のシリウスです。

 実は冬の大三角の中央付近を天の川が流れているのですが、当日は月明かりが大きいので、淡い天の川の光はかき消されてしまって見えないと思います。月のない暗夜に空が十分に暗い場所で見ると、冬の天の川が白く薄い雲のようにつながっていることが確認できます。冬の天の川は夏の天の川よりも淡くて見えにくいので、条件の良い時と場所を選んでお試しください。

木星と土星

 先に見つけたオリオン座の上方を見てみましょう。リゲルやベテルギウスと同じくらいの明るさで、いまひとつさえない色で鈍く光る星がありませんか。実はその星は土星です。水星、金星、火星、木星、土星の5つの惑星は明るく見えるので、肉眼でも十分に確認することができるんですよ。双眼鏡では無理ですが、小さな天体望遠鏡でも土星を見ると環を確認することができます。機会があればお試しください。

 今度は月のある方角へ再度目を向けてみましょう。月からやや離れた下の方に、他のどの星よりも明るく輝く星が見つかるかと思います。これは木星です。金色に輝いていますが、木星はギリシャ神話の最高神ゼウスのことです。どうです、それにふさわしい素晴らしい輝きだと思いませんか。

木星とプレセペ星団の接近の様子

 もし双眼鏡があれば、木星のやや上あたりをのぞいてみると、大きな星団があることがわかります。月明かりで見づらいかもしれませんが、これはかに座にあるプレセペ星団です。現在木星はプレセペ星団に接近中なので、両者を同時に双眼鏡で眺めてみると楽しいと思います。上の絵は木星付近を拡大した星図ですので参考にしてください。木星の上付近にある星の集まりがプレセペ星団です。月の位置は3月14日の位置なので、日が異なると位置も変わってきますので注意してください。

 
男:ほら、あちらが土星、こちらが木星だ。惑星も目でみえるんだよ。
女:ウットリ・・・。(彼ってすごい!)
 

彼女はあなたのことを尊敬してくれるかもしれません・・・。

北の空(20時)

ホワイトデー、20時頃の北の空

まずは北極星

 真北の方角を向いてみましょう。そのまま視線を上げて行きますと、空の中ほどよりやや低い位置に2等星の星がみつかるはずですが、これが北極星です。北極星の高度は日時を問わずにほぼ一定で、あなたの観測地点の緯度が北極星の高度になります。東京付近では35度といったところでしょうか。

 北極星はこぐま座という星座の一部です。こぐま座に対しておおぐま座という星座もありますが、こちらは北斗七星として有名で、ひしゃく型をしています。おもしろいことに、こぐま座の方もよく見ると小さなひしゃく型をしていることがわかります。今この時間帯なら、ひしゃくを横に置いたような格好をしていますので、一度北斗七星のひしゃくと見比べてみると面白いと思います。


北斗七星とカシオペア座

 北極星を左右から挟むように、有名な星が見えています。ひとつは北斗七星、もうひとつはカシオペア座です。

 北斗七星は先にも少し触れましたが、大きなひしゃくの形をしています。2等星が6個と3等星が1つでできていますので、なかなか立派なものです。星座のことはわからないけど、北斗七星ならわかるよ、という方も多いのではないでしょうか。北斗七星を含めて北の空の星は全て、時間が経つと北極星の周りを回っているように見えるのですが、これはもちろん地球の自転のためです。星座は1日に約360度移動して一周するので、1時間では15度移動します。ホワイトデーの20時頃なら、北東の空でひしゃくが立ったように見えます。季節や時間が変わると、北斗七星の見え方も違ってきますから注意しましょう。

 一方、カシオペア座北斗七星の反対側、北西の空に見えています。カシオペア座はW字型で有名なのですが、今はW字型が横を向いた格好をしています。

 いずれも特徴のある形をしているので見間違えることはないと思いますよ。何? 空を見ても北斗七星が見つからないって? あたり前や、南の方を向いとったって見えへんで。方角は事前にしっかりと確認しておきましょう。

東の空(21時)

 星空を見ているうちに1時間が経過しました。今度は21時頃の東の空です。

春の夫婦星

 東の空からは春の星座が昇ってきていますが、このうち、春の夫婦星を紹介しましょう。先に見つけた北斗七星の柄の部分のカーブをそのまま大きく延長すると、アークトゥルス、スピカの順に1等星が見つかります。この大きなカーブを春の大曲線と呼んでいます。

 アークトゥルスはうしかい座の1等星でだいだい色をしており、スピカはおとめ座の1等星で白色をしています。この2つの1等星を比較すると、アークトゥルスは男性的に見え、スピカの方は女性的に見えるので、2星を合わせて春の夫婦星と呼んでいます。

 
男:僕はアークトゥルス、君はスピカ。春の夫婦星のように仲良くなろうね。
女:うん。(小さくうなずく)

そして、そして、ふたりは・・・
 

おふたりさん、おめでとうございます。(くーっ、く・や・し・い・!)

 ここでは20時または21時の星空ということで解説しましたが、「他の時間帯ならどう見えるんだ」と言われる方がいるかもしれませんね。そんな方は、「つるちゃんのプラネタリウム for Javaアプレット」の中にある「万能プラネタリウム」で、別の時間に星座がどのように見えるのかを表示させてみましょう。

つるちゃんのプラネタリウム ホワイトデーの星空