2004年 ホワイトデーに見る星空
今年は「バレンタインデーに見る星空」の特集記事を作れませんでしたので、「ホワイトデーに見る星空」の特集記事を作りました。年に一度の特別なこの日に星空のことをちょっと勉強して、彼女にいいとこみせてね。
今年は惑星が4つも見えるので、こちらを中心に見ていくことにしましょう。
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(彼女にいいとこみせてね、なんて書いてるけど、本当はみんなが彼女の前で失敗したらええと思ってるんやろ)
つる:−−>そ、そんなことないぞっ!
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遅くなってきた日没
冬の夜は長くて寒いと思っていたのに、ホワイトデーの頃になると夜の長さが次第に短くなってきます。それもそのはず、1週間後には春分の日がひかえています。知らない間に、春はもうすぐそこまで来ていたんですね。
日没時刻の方も日増しに遅くなってきていて、日本標準時刻の明石の場合では、バレンタインデーの日には17時41分だったのが、ホワイトデーの日には18時7分となり、26分も遅くなっています。当然空が完全に暗くなる時間(天文薄明の終わり)も遅くなり、明石の場合では19時半頃になってようやく暗くなり、ここからが天体観測のスタートとなります。
西の空(20時)
西空で見える3つの惑星を見よう
まず西の空を見てみましょう。今、夕方の西の空では3つの惑星が集まっていますので、これを見逃さない手はないでしょう!
金星
西の空でまず目にとまるのは、ほぼ真西の低い位置で輝いている金星です。夕方に見える金星は宵の明星として親しまれています。金星の明るさはマイナス4.3等星と非常に明るいので、誰が見てもすぐにわかると思います。西空で一番明るく輝いているのが金星と覚えておきましょう。ホワイトデーの頃の金星は天体望遠鏡で見ると半月よりも少しだけ丸い形に見えます。
火星とアルデバラン
金星の上に見える赤い星は火星です。火星は昨年8月に地球へ大接近して大きな話題となりましたが、あれから半年以上が経過して地球からすっかりと遠ざかってしまいました。明るさの方も当時はマイナス2.9等級と非常に明るかったのですが、いまや1.4等星とだいぶ暗くなりました。それでもどうにか1等星の明るさですから、都会の明るい夜空でも見つけることができるでしょう。
さらに上方には1等星が見えますが、こちらはおうし座のアルデバランです。アルデバランはだいだい色をしていますが、火星の赤色と見比べてみるとおもいろいでしょう。
土星
アルデバランのさらに上方には0.2等星の土星がありますが、20時頃ですと土星の高度は70度にもなりますので、感覚的にはほぼ真上方向に見えるような気がします。ずっと見上げていると首が痛くなる高さです。土星は鈍い黄色をしていて落ち着いた輝きを放ちます。天体望遠鏡で100倍くらいの倍率をかけると、土星の環を楽しむことができます。
男:ほら、夕方の西空には惑星がみっつも見えるよ。
女:わー、みっつも見えてすごいなー!
彼女もちょっと興奮気味です。
すばる
先に紹介した火星から見てやや右寄りの上方には、星がゴチャゴチャと6、7個集まっている部分がありますが、これが有名なすばるです。肉眼では普通の視力の持ち主だと6、7個の星しか見えませんが、双眼鏡があれば数十個の星を見ることができます。
すばるの星々は生まれてから5千万年ほどしか経っていません。私たちの太陽が生まれてから50億年も経っていることを考えると、すばるの星々は、まだ生まれたばかりの赤ちゃんのようなものですね。
男:ほら、双眼鏡ですばるを見てごらん。星がたくさん見えて宝石みたいだよ。
女:わー、きれいー。(素敵!)
彼女の気分もすっかり盛り上がってきました。
北の空(20時)
まずは北極星
真北の方角を向いてみましょう。そのまま視線を上げて行きますと、空の中ほどよりやや低い位置に2等星の星がみつかるはずですが、これが北極星です。北極星の高度は日時を問わずにほぼ一定で、あなたの観測地点の緯度が北極星の高度になります。東京付近では35度くらいです。
北極星はこぐま座という星座の一部です。こぐま座に対しておおぐま座という星座もありますが、こちらは北斗七星として有名で、ひしゃく型をしています。おもしろいことに、こぐま座の方もよく見ると小さなひしゃく型をしていることがわかります。今この時間帯なら、ひしゃくを横に置いたような格好をしていますので、一度北斗七星のひしゃくと見比べてみると面白いと思います。北斗七星とカシオペア座
北極星を左右から挟むように、有名な星が見えています。ひとつは北斗七星、もうひとつはカシオペア座です。
北斗七星は先にも少し触れましたが、大きなひしゃくの形をしています。2等星が6個と3等星が1つでできていますので、なかなか立派なものです。星座のことはわからないけど、北斗七星ならわかるよ、という方も多いのではないでしょうか。北斗七星を含めて北の空の星は全て、時間が経つと北極星の周りを回っているように見えるのですが、これはもちろん地球の自転のためです。星座は1日に約360度移動して一周するので、1時間では15度移動します。ホワイトデーの20時頃なら、北東の空でひしゃくが立ったように見えます。
一方、カシオペア座は北斗七星の反対側、北西の空に見えています。カシオペア座はW字型で有名なのですが、今はW字型が横を向いた格好をしています。同じ星座でも見る時期や時間が異なると、見え方も違ってきますので注意しましょう。
東の空(21時)
木星
最後に東の空を見てみましょう。西の空に見える金星ほども明るくありませんが、ひときわ明るく目だって金色に輝いている星が目に飛び込んできますが、これは木星です。木星の明るさはマイナス2.5等星ですから、全天で最も明るいおおいぬ座のシリウスよりも明るいことになります。
木星は天体望遠鏡で見ると複数の縞模様やガリレオ衛星と呼ばれる4つの木星の月も見られるなど、見所がいっぱいです。
しし座
木星が見える付近は春の星座、しし座という星座になります。星占いで有名な星座ですね。星占いの星座は黄道12星座と呼ばれますが、お隣のかに座も黄道12星座のひとつです。しかし、暗い星ばかりで形がはっきりせず、かにの姿を思い浮かべるには骨が折れます。それにひきかえ、このしし座は形が非常に美しく、人喰いライオンが勇ましく天を駆け上がっていく姿を容易に想像することができます。
男:僕の誕生星座はしし座だけど、君はまるで木星のようだ。しし座の中で光り輝いている・・・。
女:ウ、ウ、ウットリ・・・。(彼って最高!!)
そして、そして、ふたりは・・・。
つる:−−>世の中そんなにうまくいかへんもんや。当日曇ったらどないすんねん。
男:ガーン!!