ホワイトデーの星空

 バレンタインデーが終わったと思ったら今度はホワイトデー。全国の恵まれない男性のために、「ホワイトデーに見る星空」を紹介します。内容的には「バレンタインデーに見る星空」と大差ありませんが、ブーブー言わないでください。それでは星空のことを勉強して、彼女にいいとこ見せてね。

(一番恵まれてないのはお前やろがー)
つる: うるさいっ(泣)。

遅くなってきた日没

 冬の夜は長くて寒いと思っていたのに、ホワイトデーの頃になると、夜の長さが次第に短くなってきます。それもそのはず、およそ1週間後には春分の日がひかえています。知らない間に、春はもうすぐそこまで来ていたのですね。

 日没時刻の方も日増しに遅くなってきています。年によって多少異なりますが、日本標準時刻の明石の場合だと、バレンタインデーの日には日の入り時刻が17時42分だったのですが、ホワイトデーの日には18時6分となり、24分も遅くなっています。当然空が完全に暗くなる時間(天文薄明の終わり)も遅くなり、明石の場合では19時半頃になってようやく暗くなり、ここからが星空ウォッチングのスタートとなります。

男:ほら、夕焼けを見てごらん。きれいだね。
女:ほんと、きれいね!

彼女の気分も少し盛り上がってきました。 

南西の空(20時)

ホワイトデー、20時頃の南西の空

冬の大三角を見つけよう

 ホワイトデーの20時頃には冬の星座が南西の空に見えています。中でも有名な星座がオリオン座でしょう。鼓の形に似たその星の配列は、見事としか言いようがありません。オリオン座には1等星が2つありますが、右下の白い星はリゲル、左上の赤い星はベテルギウスといいます。

 このベテルギウスをひとつの頂点として、左側にある明るい星3個をつなぐと大きな逆三角形ができますが、これが冬の大三角です。ベテルギウスと同じくらいの高度に光る黄色い1等星はこいぬ座のプロキオン、下側にある際立って明るい星はおおいぬ座のシリウスです。

 実は冬の大三角の中央付近を天の川が流れているのですが、夏の天の川と比べると冬の天の川はたいそう淡いので、よほど空の状態が良くないと、天の川の光はかき消されてしまって見えないと思います。空が十分に暗い場所で月のない暗夜にお試しください。

すばる

 オリオン座から見て右方向には1等星のアルデバランがあります。アルデバランはだいだい色をしていますので、すぐにそれとわかります。アルデバランのやや右下方向には、星がゴチャゴチャと6、7個集まっているところがありますが、これが有名なすばるです。肉眼では普通の視力の持ち主だと6、7個の星しか見えませんが、双眼鏡があれば数十個の星を見ることができます。

 すばるの星々は生まれてから5千万年ほどしか経っていません。私たちの太陽が生まれてから50億年も経っていることを考えると、すばるの星々は、まだ生まれたばかりの赤ちゃんのようなものですね。

男:ほら、あれが有名なすばるだよ。双眼鏡ですばるを見てごらん。 
女:わー、きれいー。(素敵!)

彼女はあなたのことを尊敬してくれるかもしれません・・・。 

北の空(20時)

ホワイトデー、20時頃の北の空

北極星と小さなひしゃく

 今度は真北の方角を向いてみましょう。そのまま視線を上げて行きますと、空の中ほどよりやや低い位置に2等星の星がみつかるはずですが、これが北極星です。北極星の高度は日時を問わずにほぼ一定で、あなたの観測地点の緯度が北極星の高度になります。東京付近では35度といったところでしょうか。

 北極星はこぐま座という星座の一部です。こぐま座に対しておおぐま座という星座もありますが、こちらは北斗七星として有名で、ひしゃく型をしています。おもしろいことに、こぐま座の方もよく見ると小さなひしゃく型をしていることがわかります。今この時間帯なら、ひしゃくを横に置いたような格好をしていますので、一度北斗七星のひしゃくと見比べてみると面白いと思います。

北斗七星とカシオペア座

 北極星を左右から挟むように、有名な星が見えています。ひとつは北斗七星、もうひとつはカシオペア座です。

 北斗七星は先にも少し触れましたが、大きなひしゃくの形をしています。2等星が6個と3等星が1つでできていますので、なかなか立派なものです。星座のことはわからないけど、北斗七星ならわかるよ、という方も多いのではないでしょうか。北斗七星を含めて北の空に見える星は全て、時間が経つと北極星の周りを回っているように見えるのですが、これはもちろん地球の自転のためです。星座は1日に約360度移動して一周するので、1時間では15度移動します。ホワイトデーの20時頃なら、北東の空でひしゃくが立ったように見えます。季節や時間が変わると、北斗七星の見え方も違ってきますから注意しましょう。

 一方、カシオペア座は北斗七星の反対側、北西の空に見えています。カシオペア座はW字型で有名なのですが、今はW字型が横を向いた格好をしています。

 いずれも特徴のある形をしているので見間違えることはないと思います。何? 空を見ても北斗七星が見つからないって? あたり前や、南の方を向いとったって見えへんで〜。方角は事前にしっかりと確認しておきましょう。

東の空(21時)

ホワイトデー、21時頃の東の空

 星空を見ているうちに1時間が経過しました。今度は21時頃の東の空です。

春の夫婦星

 東の空からは春の星座が昇ってきていますが、このうち、春の夫婦星を紹介しましょう。先に見つけた北斗七星の柄の部分のカーブをそのまま大きく延長すると、アークトゥルス、スピカの順に1等星が見つかります。この大きなカーブを春の大曲線と呼んでいます

 アークトゥルスはうしかい座の1等星でだいだい色をしており、スピカはおとめ座の1等星で白色をしています。この2つの1等星を比較すると、アークトゥルスは男性的に見え、スピカの方は女性的に見えるので、2星を合わせて春の夫婦星と呼んでいます。

 21時頃ですと、まだふたつの星の高度は低いので、東の方角が開けた場所で見るようにしましょう。

男:僕はアークトゥルス、君はスピカ。春の夫婦星のように仲良くなろうね。
女:うん。(小さくうなずく)

おふたりさん、おめでとうございます。(くーっ、く・や・し・い・!) 

 ここでは20時または21時の星空ということで解説しましたが、「他の時間帯ならどう見えるんだ」と言われる方がいるかもしれませんね。そんな方は、「つるちゃんのプラネタリウム for Javaアプレット」の中にある万能プラネタリウムで、別の時間に星座がどのように見えるのかを表示させてみましょう。

過去の記事

  このページは過去の記事を編集して作成しています。

  2004年 ホワイトデーの星空

  2003年 ホワイトデーの星空