4月といえば新年度の開始月。入学式、入社式をはじめとし、新しいスタートラインに立つときですが、みなさんはどんなスタートをきりますか。中には「先月までと同じ」という方もおられるかもしれませんが、あるいはつるちゃんもその口かもしれません。
気温の方が少しずつ上昇してくるとともに、夜空の方も春の星座がいっぱいになってきました。さあ、みなさんも春の夜空を散策してみましょう。
注)このページの星空の様子は4月15日21時を基準としていますが、下の日時でもほぼ同様の空を見ることができます。また、東京以外でも日本国内であれば、見え方にそれほど違いはありません。
3月15日23時
4月 1日22時
4月15日21時
4月30日20時
5月15日19時
先月まで見えていたカシオペア座やペルセウス座といった秋の星座は、さすがにすっかりと高度が低くなり、見るのが難しくなってきました。
さらに、冬の星座もどんどんと西の空へと沈んでいっています。オリオン座やおおいぬ座も今月で見納めとななるでしょう。おうし座は2本の大きな角が地平線からニョキッと生えているように見えます。それでも冬の大三角の一番上側に見えるこいぬ座のプロキオンやふたご座は、まだ空の中ほどにいて踏みとどまっている、そんな感じがします。この時期のふたご座は、兄弟2人が並んで立ち上がった格好に見えているので、一番形をつかみやすい時期ではないでしょうか。
南の空では、南西から南東にかけてうみへび座が大きく陣取っています。海蛇の頭は12月から昇り始めて、今月になってようやく全体が見えるようになりました。うみへび座を端から端まで全部まとめて見ようと思えば、今月あたりがベストでしょう。本当に大きな星座だなあと感心させられます。
うみへび座の背中の上に乗っているのはコップ座とからす座です。からす座のいびつな四辺形は、付近に目立った星がないため、案外目立っています。実はこのカラスは大変なうそつきカラスで、みせしめとして天に上げられたものです。
南東の空には青白く光るきれいな1等星スピカのあるおとめ座が、東の空から南東の空へと移動してきました。スピカが人目につき始めると、いよいよ春も本番です。
からす座
この時期のからす座は南東の空に見えます。うみへび座のしっぽの少し上側に位置しています。4つの3等星がいびつな四角形を形作っているのですが、付近には明るい星が少ないのも手伝って、小さな星座のわりには意外と目立っています。星の配列がいびつな分だけ、かえって印象に残ります。星座絵ではうみへびの背中をつついているカラスの絵が描かれています。
ギリシャ神話では、からす座はうそつきカラスとして登場します。カラスの飼い主であるアポロンの使いの帰りに、寄り道をして遅くなった言い訳に、「アポロンの妻が浮気しているところを見た」とウソをつきました。これが原因で、アポロンは浮気相手を殺そうとしましたが、誤って妻を殺してしまいました。後にカラスのうそを知ったアポロンは、カラスを天に上げて、うそつきのみせしめとしたのだそうです。
コップ座
コップ座とは妙な名前の星座ですね。コップというとジュースを飲むときのコップを想像しますが、コップ座のコップは盃のことで、2つの取っ手と台がついた立派なものです。お酒と水を混ぜ合わせるのに使われたもので、クラーテルと呼ばれています。位置はからす座 の右隣にありますが、なにぶん暗い星が多いので、立派な盃の形を想像するのはちょっと難しいかもしれません
ギリシャ神話では何通りかの説があるようですが、酒とぶどうの神ディオニュソスがお酒を造るのに使ったものだという説があります。
4月の北の空は、西側の左半分は非常に寂しい状態で、これといって目立った星が見あたりません。逆に東側の右半分は、天高くに北斗七星がひしゃくをひっくり返したような形で見えており、その下側には大きく曲がりくねったりゅう座が見えます。北極星のあるこぐま座のひしゃくもスケールは小さいながら、この時期は東側に張り出していて、西と東で大違いな北の空となっています。
東の空からは、春の星座がどんどんと昇ってきて、4月で全部出そろいました。南東の方角からはうみへび座のしっぽの部分やからす座が見えています。先月はまだ東の空で高度が低くかったうしかい座やおとめ座も高度を上げてきて、ずいぶんと見やすくなりました。うしかい座のアークトゥルスと、とおとめ座のスピカは、春の夫婦星と呼ばれています。先月までは少し見にくかった春の大三角も、今月にははっきりと確認することができます。
東からやや北よりの空低くには、夏の星座のかんむり座が先陣をきって昇ってきました。
おとめ座
南東の空で、アークトゥルスよりもやや低い高度には青白色をした1等星が見えますが、これはおとめ座のスピカです。スピカとはラテン語で「穂先」を意味しますが、農業の女神デーメーテルが持つ麦の穂の先の部分に位置しています。スピカは実は2重星で、ピッタリとくっつくように4日という短い周期で回り合っており、表面温度は2万2千度もあって太陽の700倍もの光を放っているという強烈な星なのだそうです。
おとめ座からりょうけん座にかけては銀河(小宇宙)が密集しており、「宇宙ののぞき窓」と呼ばれています。「つるちゃんの3D銀河宇宙」のソフトを使うと、この様子を3次元的にシミュレーションすることができますので、当サイトでダウンロードして一度お試しください。
おとめ座はギリシャ神話では、農業の女神デーメーテルが麦の穂を持った姿だと伝えられています。
かんむり座
東の空低く、うしかい座の左下あたりには小さな星が7つ並んで、かわいい半円形を形作っているのがわかります。これがかんむり座です。かんむり座は実は春の星座ではなくて夏の星座に分類される場合もありますので(つるちゃんのプラネタリウムでは夏の星座としています)、高度が低いのはいたしかたありません。主星ゲンマは2等星と明るいのですが、その他は4等星と5等星なので、田舎にでも行かない限りちょっと見づらいかもしれません。小さな星座ですが、半円形のかわいい形は実に印象的です。先に出てきた酒とぶどうの神ディオニュソスがクレタ島の王女アリアドネに贈った冠だというのも納得できます。
春の夫婦星
うしかい座のアークトゥルスはだいだい色で男性な輝きをしており、おとめ座のスピカは青白い色で美しく、いかにも女性的な感じがします。そこでこの2つの星をあわせて春の夫婦(めおと)星と呼んでいます。春の夫婦星は、春の大曲線からたどることができます。
春の大三角
しし座のしっぽの星デネボラ(2等星)、おとめ座の麦の穂の穂先にあるスピカ(1等星)、うしかい座のオレンジ色をしたひときわ明るいアークトゥルス(0等星)の3つの星を結ぶと、空に大きな三角形ができあがりますが、これが春の大三角になります。冬の大三角と比べると、三角形の大きさはだいぶ大きなものです。2つの大三角が同時に見えるこの時期に、両者の大きさを見比べてみましょう。
天頂方向は春の星座がいっぱいです。まずしし座が目に止まりますが、春の星座の代表格らしく、お化けライオンが優雅に堂々と、天上で横たわっているように見えます。先月は天頂近くに見えていたかに座ですが、今月には少し高度を下げてきました。しかし、それでもまだ高度60度付近にいて、長く見上げていると首が疲れてくる高さです。北の空からは北斗七星が天高くに昇ってきました。
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