七夕特集 2002年

 7月7日は七夕祭り。一年に一度だけ、牽牛と織姫のふたりが、天の川を渡って会うことを許された日ですね。そんな日に夜空を見上げて七夕の星を探し、夜空に思いを馳せてみませんか。

21時頃の星空

夜空全体をみてみると

7月7日21時頃 夜空全体の様子

 夜空全体を眺めてみますと、総じて言えば、西半分(上の絵では右半分)が春の星座で、東半分が夏の星座といったところでしょうか。

 南西の空には大きな春の大三角が居座っており、おとめ座やうしかい座といった春を代表する星座が見えています。しし座などはもう西の空へすっかりと傾いて、沈みかけています。しし座の西の端付近の低空には宵の明星、金星も見えています。

 南の空には赤いアンタレスのあるさそり座や、大きな将棋の駒の形をしたへびつかい座など、夏の星座が横たわっています。東の空からはこの日の主役のこと座やわし座をはじめとした、夏を代表する星座が昇ってきています。

東の空−牽牛星と織姫星が昇ってきているぞ


 
牽牛星と織姫星

 東の空を見てみましょう。この日の主役は何と言っても、彦星・牽牛星と織姫星ですね。

   彦星・牽牛星:わし座の1等星アルタイル
   織姫星:こと座の1等星ベガ

 21時頃なら、この2星はちょうど真東に見えています。ちょうど天の川を挟むように位置しており、七夕伝説のとおりです。天の川の下側に見えているのがアルタイル(彦星)、上側に見えているのがベガ(織姫星)です。

 2つとも1等星で明るいので、明るい都会の夜空でも見つけることができるでしょう。逆にこれらの明るい1等星しか見えないかもしれませんね(悲)。この2星の左側にははくちょう座のデネブ(1等星)も見えていますので、間違わないように気をつけましょう。
天の川

 でも残念ながら、天の川の高度はまだ40度あまりですから、空が暗くて透明度が良くないと、天の川を見るのは難しいかもしれません。幸い、この日は月明かりがないので、この点は救いです。しかし、本当に天の川を楽しむためには、もう少し時間が経たないといけません。次で紹介する0時頃ならOKでしょう。

 七夕伝説では、牽牛星と織姫星は1年に1度だけ、天の川を渡ってデートすると言われていますが、実際に星が動いていくわけではありません。天の川によっていつも分けられたふたりは、ちょっとかわいそうな気がします。その上、実際のふたりの距離は、隔てること14.8光年。そんな遠い距離に置かれたふたりは、ますますもってかわいそうですね。
夏の大三角

 このベガ(織姫星)とアルタイル(彦星)は、はくちょう座デネブとともに夏の大三角を構成していますので、この点も見逃さないようにしましょう。

0時頃の星空

天頂方向の空−天の川も見える!
7月8日0時 天頂付近の様子
牽牛星と織姫星

 0時ともなると、この日の主役たちは、天頂付近にまで昇りつめています。織姫星のベガはほぼ頭の真上付近、牽牛星のアルタイルも高度60度付近にあり、見上げるのに首が痛くなりそうです。

天の川

 でも高度が高くなったおかげで、21時頃では難しかった天の川も、条件さえ整えば楽に見ることができます。といっても条件が整えばの話で、明るい都会の空ではまず無理でしょう。可能な限り、田舎の暗い空で眺めたいものです。天の川は非常に淡いので、空の状態によって、見え方が全然違ってきますから。空が暗い場所で、沸き立つ雲のように見える天の川を目の当たりにすると、きっと感動しますよ。

   その他の方角の空の様子のリンクを下に用意しました。実際に星空を見る時の参考にしてください。

7月7日21時 7月7日21時 東の空
7月7日21時 南の空
7月7日21時 西の空
7月7日21時 北の空
7月7日21時 天頂方向
 
7月8日 0時 7月8日0時 東の空
7月8日0時 南の空
7月8日0時 西の空
7月8日0時 北の空
7月8日0時 天頂方向

牽牛星から織姫星を見ると?

 ここで、「つるちゃんのプラネタリウム」ならではの、ちょっと変わった星空を紹介しましょう。ナント大胆にも、アルタイルへ行って、牽牛星から織姫星がどこに見えるか探してみましょう。


下の画像にマウスを重ねて、地球から見た星座と比べてみてね!
織姫星はりゅう座の中へ

 上の絵を見てください。牽牛星から見た星空です。牽牛星から見ると、ベガ(織姫星)はりゅう座の中(右上の方)へ移動し、天の川からは遠く外れてしまいました。
 
 地球から見た場合と比べると、ベガまでの距離が25.3光年から14.8光年と近づいたため、その明るさも0.0等星からマイナス1.1等星へと明るく見えるようになります。

夏の大三角がないよ

 地球から見た夏の大三角は、牽牛星からは見えません。3星のうち、アルタイルが見当たりませんが、そりゃそうです。夏の大三角を構成する星のひとつ、アルタイル(牽牛星)に来て星空を見ているのですから・・・。

他の星座もちょっと変

 地球からアルタイルまでの距離は16.8光年。たったの(?)16.8光年移動しただけで、星座の形はずいぶんと崩れてしまっています。先に出てきた0時頃の星空の場合と見比べてみてください。

 はくちょう座の十字架もちょっと変、左端に見えている秋の四辺形もちょっと変。全ての星座の形が微妙に違ってきています。中央右寄りにあるギリシャ神話の英雄ヘルクレス座などは、見る影もなくなってしまいました。
このページの画像は「つるちゃんのプラネタリウム for Windows シェア版」を使用しています。ダウンロードできるフリー版もあるよ。どちらも「天文ソフトのダウンロードとご購入」からどうぞ。

※本ページは、月ごとの星空の中にある七夕の星を見つけようのページへ移動しました。

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