12月の星空 昇ってきた冬の星座

 12月になると、宵の時間帯でも寒さが厳しくなってきます。寒がりの方にとっては厳しい季節の到来ですが、このページを読んでいる皆さんはがんばって観測してくださいね。

注)このページの星空の様子は12月15日21時を基準としていますが、下の日時でもほぼ同様の空を見ることができます。また、東京以外でも日本国内であれば、見え方にそれほど違いはありません。

   11月15日23時
   12月 1日22時
   12月15日21時
   12月31日20時
    1月15日19時

西の空

 西の空を見てみますと、先月までがんばっていた夏の大三角ですが、さすがに12月ともなるとはくちょう座のデネブを残すだけとなってしまいました。そのはくちょう座ですが、北西の空で頭からまっ逆さまに落ちてくような格好をしていますが、空に大きな十字架が立っているように見えなくもありません。

 かわって、西の空を占めてきたのは秋の星座です。アンドロメダ座、みずがめ座、うお座など、秋を代表する星座は皆、西の空に傾いてきました。大きな四角形のペガスス座は、はくちょう座の場合と同様に、こちらも頭からまっ逆さまに落ちていくような格好をしています。南西の低い位置で光っている秋のひとつ星フォーマルハウトは、今月が見おさめとなるでしょう。

12月15日21時 西の空

南の空

 先月あたりまでは、南の空の大部分は秋の星座で占められていましたが、12月になると、西半分(右半分)は秋の星座で、東半分(左半分)は冬の星座になってきました。全天で4番目の広さを持つ秋の星座のくじら座と、全天で6番目の広さを持つ冬の星座のエリダヌス座の一騎打ちといったところでしょうか。どちらの星座も、広さのわりにはいまひとつ目立たない星座なので、この時期の南の空は、年間を通して最も寂しい時期といえるかもしれません。

12月15日21時 南の空

エリダヌス座

 オリオン座の西側から南西側(おおまかに言ってオリオン座の右側)にかけて、小さな星がウネウネと曲がりくねりながら南の地平線へと落ちていきますが、この付近がエリダヌス座になります。エリダヌスは川の名前なのですが、その流れ着く先には、日本の本州からは見えないアケルナルという1等星があります。アケルナルは「川の果て」という意味です。

 華やかな冬の星座にあっては、あまり目立たない存在ですが、長ーい川の流れにも注目してみましょう。

北の空

 12月の北の空は、北北西の空高くに見えるカシオペア座がひとり気を吐いています。こぐま座のひしゃく形は下を向いてしまっていますし、おおぐま座の北斗七星も北北東の空から顔をのぞかせてきた程度で、まだまだ人目につきにくい状態です。空の中ほどには、きりん座やケフェウス座といった、暗い星が多くて形がつかみにくい星座が陣取っているので、北の空全体が寂しく感じられます。

12月15日21時 北の空

東の空

 12月になると、東の空は冬の星座でいっぱいになってきました。秋の星座が寂しかった上に、冬の星座の1等星は全部で7個もあるので、とても豪華できらびやかに見えます。

 11月の記事で紹介したおうし座やぎょしゃ座などは21時頃でも高度が50度に達し、これからは見上げるのにだんだんとつらくなってきます。先月は高度が低くて見づらかったオリオン座や、12月中旬に極大となるふたご座流星群の輻射点(放射点)があるふたご座も、12月になると高度が30度前後となり、だいぶ人目につきやすくなってきました。オリオン座が目につくようになってくると、いよいよ冬の到来です。

 東から南東にかけての低空には、こいぬ座の1等星プロキオンと、おおいぬ座の1等星シリウスが昇ってきました。これら2つの1等星にオリオン座のベテルギウスを加えると、冬の大三角ができあがります。これら3つの1等星の中でもひときわ明るいのが、マイナス1.4等星のシリウスです。その意味は「焼き焦がすもの」というだけのことはあって、普通の1等星よりも2ランク以上も明るく、全天で最も明るい恒星として知られています。

12月15日21時 東の空

オリオン座

 冬の星座でまず目に付くのは、鼓の形をしたオリオン座です。この時期のオリオン座は、まだ横向きに寝そべった格好で、東の空から昇ってきているところです。オリオン座には1等星が2つと、2等星が5つもあり、大変豪華な構成です。おまけに三つ星を真ん中にして、四角形が取り囲むようにきれいに星が配置されていますから、人目をひくのも当然でしょう。

 オリオン座の1等星ベルギウスが赤い色をしているのに対して、0等星リゲルをはじめとしたオリオン座の星々は、白か青白い色をしているのも特徴的です。2つの1等星の色は非常によい対比をなしているので、日本では赤いベルギウスを平家星、白いリゲルを源氏星と呼んだりしています。

 三ツ星の南側には有名なオリオン大星雲があり、空の暗い場所では肉眼でもぼんやりと見えています。双眼鏡で見れば、鳥が羽を拡げたような美しい姿を捉えることができます。

 ギリシャ神話では、オリオンは名高い狩人です。ところが、オリオンは狩が得意なことを自慢するあまり、大神ゼウスの妻であるヘラの反感を買ってしまい、ヘラの仕向けたさそりによって刺し殺されてしまいました。このため、さそり座が昇ってくる頃になると、オリオンはこそこそと西の空へ沈んで行くのだそうです。

うさぎ座

 オリオン座の南にはうさぎ座という、かわいらしい星座があります。あまり明るい星はないのですが、星をていねいにたどると、確かにオリオンの足元で飛び跳ねるうさぎの姿が浮かび上がります。

 うさぎ座には特にギリシャ神話は伝えられていませんが、狩人オリオンが狙った獲物として描かれた星座ではないかと言われています。

天頂の空

 12月頃、天頂に最も近くて目につく星座はペルセウス座です。ギリシャ神話の英雄だけあって、この時期に見るペルセウス座は、特に勇ましくてえらそうに思えてくるから不思議です。ペルセウス座の隣には小さなさんかく座がありますが、ちょっとこちらにも目をやってみてください。小さくてかわいらしい三角形で、一度見ると意外と印象に残る星座です。

 ところで、さんかく座の中にあるM33という星雲をご存知でしょうか。これはM31(アンドロメダ大星雲)に次いで明るい銀河なのですが、満月の2倍近くに大きく拡散しているため、ちょっと空の状態が悪いと双眼鏡でも確認するのが難しくなってしまいます。11月から12月にかけて、さんかく座が天頂付近にやってくるこの時期が、M33を確認するには最も良い時期といえるでしょう。目のいい人なら、肉眼でも見えるそうですよ。

12月15日21時 天頂の空

<恒星の凡例> <星雲・星団の凡例>
大きさにより1等星から6等星までを分類しています。 銀河、散開星団、球状星団、散光星雲、惑星状星雲、超新星残骸などを分類しています。