秋の星座がお目見え 2002年9月

 日中はまだ暑いものの、太陽が西に沈むと涼しい夜風が吹き、天体観測には心地よい季節になりました。秋は夏に比べて大気中の水蒸気も減り、透明度が高くなりますので、天体観測にはもってこいの季節といえます。

9月の星空(全体)

 9月は空のほうも夏と秋の境目。宵の頃には、空の西半分(右側)は夏の星座で、東半分(左側)は秋の星座が広がっています。夏の先陣を切って昇ってきたはずのてんびん座は早くも西の空へと沈んでしまいました。夏の夜空のシンボルともいえるさそり座も半分は地平線の下です。ヘルクレス座やへびつかい座も大きく西へ傾いてきました。西の空低くには、春の星座であるうしかい座のアークトゥルスが地平線ギリギリのところでがんばっていて、季節を考えると奇妙な感じがします。天高くを見てみますと、夏の大三角が居座っていて、天の川も太く濃く見えており、まだまだ夏の余韻を残している、そんな感じでしょうか。

 一方、北の空では、北斗七星のあるおおぐま座が高度を下げて見えにくくなってきました。そのかわり、北東の空からはW字型で有名なカシオペア座が高度を上げてきています。

 次は東天を見てみましょう。東天には秋の星座がいっぱい見えていますよ。

9月の東の空

やぎ座

 まず南南西の空を見てみましょう。高度30度くらいのところにやぎ座の星々が逆三角形の形に並んでいるのが目にとまります。暗い星が多いので、街明かりの明るい場所では見つけにくいかもしれません。しかし、空が暗い場所では星の並びがはっきりわかり、秋の星座の中では結構見つけやすい星座といえます。

ペガスス座

 東の空には斜めを向いて昇ってきているペガススの四辺形が見えています。秋の星座はさびしい星座が多いのですが、その中にあって、ペガススの四辺形だけは目立っています。ペガスス座は羽の生えた天馬ですが、どういうわけか上下が逆さを向いています。秋の星座の英雄ペルセウスは、ペガススの背中に乗って化け鯨のいけにえになりそうなアンドロメダ姫のそばを通りかかり、アンドロメダ姫を救ったと言われています(四季の星座の中にある秋の星座のアンドロメダ座を参照してください)。

みずがめ座

 秋の星座は暗い星座が多いのですが、その代表がこのみずがめ座でしょう。暗い星ばかりでイメージが全然つかめません。その中にあってYの字に並んだ三ツ矢と呼ばれる部分だけが目立ちますので、これを頼りに暗い星をていねいにたどってみましょう。しかし、つるちゃんには美少年ガニメデスが水瓶をたずさえている姿などとても想像できません。みなさんはいかがでしょうか。
 ちなみに、つるちゃんの星座はみずがめ座です。だから美青年なんだ!?

みなみのうお座

 秋の星座の1等星はみなみのうお座フォーマルハウトひとつだけしかありません。このためフォーマルハウトは「秋のひとつ星」と呼ばれています。フォーマルハウト以外は付近に明るい星は少なく、みなみのうお座も形がよくつかめません。星座絵では、みずがめ座からこぼれ出した水が、みなみのうお座の口へと吸い込まれていく姿が描かれています。

カシオペア座

 北東の空にはW字型で有名なカシオペア座が昇ってきています。しかし、この位置ではW字型ではなく、横を向いた形をしています。もう少し時間が経つと天高くに昇ってM字型となりますので注意しましょう。しかし、この形から、ケフェウスの王妃カシオペアの姿を思い描くのは、容易ではありません。カシオペア座の下の方からは秋の星座の英雄ペルセウス座も顔を出してきました。