2003年火星大接近徹底解説(その2)
今回は火星大接近徹底解説の第2回目です。第1回目では火星の素顔を紹介しましたが、今回はいよいよ火星大接近の謎にせまります。火星大接近とは、いったいどのようなものなのでしょうか。
地球と火星の軌道
ご存知のように地球は1年かけて太陽の周りをまわっています(公転といいます)。同じように、火星も1.88年かけて太陽の周りを公転しています。両者の公転周期の違いから、約2年2ヶ月の周期で火星は地球に接近するのですが、接近時の地球−火星間の距離は一定していません。
それは、地球の公転軌道がほぼ円形をしているのに対し、火星の公転軌道は、中心が太陽からずれた、ひしゃげた楕円形をしているためです。
右図を見てください。右側のAの位置で接近した場合と、Bの位置で接近した場合とでは、地球と火星の間の距離は大きく違っていますね。実際、Aの位置で接近した場合は両者の距離は約5600万キロであるのに対し、Bの位置で接近すると約1億キロになります。
そんなわけで、接近した時の距離に応じて、小接近、中接近、大接近といった呼び方をしています。
今回の接近は超大接近(2003年8月27日)
先に説明した大接近と呼ばれる接近は、15年または17年に一度起こり、さらに条件の良い大接近は79年ごとに起こります。今回の2003年8月27日に起こる接近は、ほぼ理想に近い状態での大接近で、地球と火星は5575万8千キロにまで接近します。これは地球−太陽間の距離の約3分の1の距離です。そしてその頃、火星のみかけの大きさ(視直径といいます)は25.11秒に達します。
前回1924年の大接近時でも、火星は今回よりも約2万キロ遠く、視直径も25.10秒と、今回の方がわずかに上回っています。視直径が25秒を超えたのは19世紀と20世紀でそれぞれ1回しかなく、21世紀には2082年に25.06秒となるのがあるだけです。
そして、ビーシュという学者さんの計算によれば、今回の接近は5万7千年ぶりの大接近だとか。今回の接近を上回る接近は2287年の5569万キロ・25.15秒、2729年の5565万キロ・25.16秒までありません。ですから、今回の大接近は超がつく、世紀の大接近だといえるでしょう。
超大接近といっても、地球と火星がぶつかるほどに接近するわけではありませんので、ご安心を。。。
つるちゃんのプラネタリウム for Javaアプレットの中にある3D太陽系を使って、接近の様子をシミュレーションしてみましょう。
・垂直方向:90度にする
・格子にチェックを入れる
・7日後のボタンを連続して押す
地球から火星の動きを見ると
それでは、地球から見た火星はどのような動きをするのでしょうか。通常は、恒星を背景にして右側から左側(西から東)へと動いている(順行といいます)のですが、火星が地球に追い越される間は、みずがめ座付近で反対方向へ動いています(逆行といいます)。
これは火星に限ったことではありません。他の惑星でも追い越したり、追い越されたりする時に、同じように逆行します。
※火星経路の拡大図を見ることができます。
「つるちゃんのプラネタリウム for Javaアプレット」の中にある惑星の経路を使って、火星やその他の惑星がどのような経路をたどるのか調べてみましょう。
地球から見た火星の大きさ
地球から見ると、火星との距離は日々変化しています。ですから当然、火星のみかけの大きさも違って見えるはずです。下の絵は1週間の間隔で21時の火星の大きさを表したものです。やはり最も接近する8月27日付近で最も大きく見えることがわかります。
違った模様が見えるのは、火星が自転しているためです。
「つるちゃんのプラネタリウム for Javaアプレット」の中にある惑星の満ち欠けを使って、火星の大きさがどのように変化するかをシミュレーションしてみましょう。
・惑星を火星に変更する
火星から地球の動きを見ると?
と、ここまでならどのホームページを見ても、似たようなことが書かれていると思います。でも、せっかく期待して「つるちゃんのプラネタリウム」を見ていただいているのですから、ここからは変わったシミュレーション画像を紹介しましょう。
ここでは思い切って、火星へ行ってみることにします。
下の絵は、火星から見た地球の経路です。最接近となる頃、地球は太陽と同じ方向にいて、しし座付近に見えています。火星から見てもやはり逆行していますね。
今度は火星へ降り立って、星空や地球を眺めてみましょう。こちらは画像が重くなるので別ページとしました。下のリンクをクリックしてください。
火星から地球を眺める
彗星から火星大接近の様子を眺める
2004年に地球へ近づいて明るくなる、リニアー彗星から火星大接近を眺めると、どのようにみえるのでしょうか。見たい方は下のリンクをクリック!
リニアー彗星に乗って火星大接近を眺めよう(274KB)