火星が接近中 2003年6月

 6月、日付が変わって夜もすっかり更けた頃、南東の空を見ると赤く明るく輝く星が見つかります。これは火星ですが、今年は火星大接近の年です。しかも今年の大接近は、ビーシュという学者さんの計算によれば、実に5万7千年ぶりという、超大接近なのだそうです。8月27日の超大接近に向けて、現在火星はじりじりと地球に接近中です。

 下の絵は6月20日の地球と火星の位置関係です。地球と火星の距離はまだ少し離れていますが、反時計まわりに移動しながら両者の距離は次第に接近していきます。


 あわせて「将来の天文現象」の中にある「2003年8月27日火星大接近」も参照してください。

移動する火星

 星座を基準にすると、6月頃の火星は西から東へと移動しています。6月の前半まではやぎ座にいますが、6月の後半はみずがめ座へと移動していきます。そして大接近の頃(8月27日)の前後には、火星は宙返りするような動きを見せます。

 明るさも次第に明るくなってきており、6月5日ではマイナス0.6等ですが、6月20日にはマイナス1.0等、最接近の頃にはマイナス2.7等まで明るくなります。

火星の経路
2003年の火星の経路


 火星は赤い色をしている上に、明るさの方もマイナス等級まで明るくなってきていますから、簡単に見つけることができると思います。しかも、6月になると火星は0時頃に東の空から昇ってきますから、ちょっと夜更かしをすればOKです。

 6月5日1時の場合と、6月20日0時の場合の星図を下に掲げておきますから、参考にしてほしいと思います。特に6月20日は近くに月があるので、よい目印になるかと思います。ちょっと月の光が強すぎるかな? いずれの場合も南東から東南東の空低くを探すようにしてください。付近では火星が一番明るい星だということも覚えておきましょう。

 火星を天体観測する場合、双眼鏡では歯が立ちませんで、やはり天体望遠鏡が必要となります。天体望遠鏡といっても火星の大きさは小さいので、観測する場合は高倍率にする必要があります。ミリで表した口径の2倍から2.5倍の倍率を目安にするとよいでしよう。 像が安定したときには、火星の表面模様や極冠を観測することができますよ。

2003年6月5日 1時頃の火星の位置
2003年6月5日1時頃の火星の位置

2003年6月20日 0時頃の火星の位置
2003年6月20日0時頃の火星の位置