天王星と海王星が見ごろ 2004年8月中

遠い惑星

 水星、金星、火星、木星、土星の5つの惑星は明るさが明るくて観測しやすいため私たちになじみが深く、このページでもたびたび紹介してきました。また、実際に「見たことあるよ」という方も多いのではないでしょうか。土星軌道の外側には、天王星、海王星という惑星が回っていますが、先の5個の惑星に比べると何かしら忘れられがちです。それというのも、これら3個のの惑星は先の5個の惑星と比べると、太陽からの距離が遠いために明るさが暗く、見つけるには骨が折れるからです。土星と太陽の距離が9.6天文単位であるのに対して、天王星は19.2天文単位、海王星は30.1天文単位、冥王星にいたっては39.5天文単位も離れています。太陽からの距離が離れるほど太陽から受ける光も弱くなり、惑星の輝きも弱くなってしまいます。

 そんな3つの遠い惑星ですが8月6日には天王星、8月28日には海王星が衝となり、これらの惑星としては比較的観測しやすくなります。といっても、天王星の明るさは5.7等、海王星は7.8等です。天王星は肉眼で見えるギリギリの明るさですが、夜空を見るのに慣れた人でないと実際に肉眼で見るのは難しいでしょう。また、海王星は夜空が明るい街中からだと、双眼鏡でも厳しい明るさしかありません。

天王星と海王星の位置

 暗い天王星と海王星を見つけるためには、やはりその位置を正確につかんでおく必要があります。今、天王星はみずがめ座、海王星はやぎ座にいます。みずがめ座とやぎ座はお隣さんの星座で、8月中旬なら22時頃に南東の空に見えます。天王星はみずがめ座の三ツ矢から10度ほど離れたσ(シグマ)星(4.8等)の近く、海王星はやぎ座のθ(シータ)星(4.1等)の近くにいるので、位置的にはわかりやすいと思います。

8月15日22時 南東の空のようす
みずがめ座とやぎ座の位置

みずがめ座、やぎ座付近の拡大図
みずがめ座、やぎ座 拡大図

位置の詳細

 天王星と海王星の位置の詳細を下に掲げます。双眼鏡や天体望遠鏡で観測する際の参考にしてください。8月頃の天王星、海王星は左上から右下方向へゆっくりと移動します。

天王星の位置詳細
天王星の位置詳細


海王星の位置詳細

海王星の位置詳細

天体望遠鏡、双眼鏡で観測しよう

 観測といっても、天王星も海王星も地球からの距離が離れているため、視直径(見かけの大きさ)はそれぞれ3.7秒、2.3秒しかありません。木星が20秒であることから考えると、その小ささがわかります。したがって、天王星や海王星を天体望遠鏡で見ても、その表面模様を観測することはできません。しかし、天王星は天体望遠鏡を使って倍率を100倍、海王星は150倍くらいまで上げると円盤像に見えてきます。

 また、独特な色にも注目してください。天体望遠鏡で見ると青緑色をして見えます。こんな変わった色をした恒星は他にはありませんので、天王星か海王星であるかを確認する有力な手段となります。

 日にちを開けて観測すると、移動を観測することもできます。双眼鏡で観測する場合、「この星が本当に天王星なのかな?」と自信がもてない時には、その1週間くらいの間隔を開けて移動を観測するようにするとよいでしょう。

天体望遠鏡、双眼鏡のない方は

 天体望遠鏡も双眼鏡も持ってないよ、とおっしゃる方がおられるかもしれません。そんな方には近くの天文台や科学館などへ出かけてみましょう。うまくすれば天王星や海王星を見せてもらえるかもしれませんよ。当サイトのトップページからリンク集を使って、観望会の日程をチェックしてみてください。

 普段はあまり話題にすることのない天王星と海王星ですが、この機会に観測にチャレンジしてみられてはいかがでしょうか。


つるちゃんのプラネタリウム 天体観測ガイド 2004年