水星食と木星食 2009年2月23日
悪い観測条件の水星食
今年惑星食は、全世界で水星食2回、金星食2回、火星食3回、木星食2回、それぞれ起こります。このうち日本で観測することができるのは、2月23日に起こる水星食と木星食だけしかありません。ですから、今回2月23日の水星食と木星食は貴重な天文現象といえるでしょう。
まず水星食ですが、こちらは観測条件があまり良くありません。それだけに、肉眼や双眼鏡では観測するのは難しく、天体望遠鏡が必要になります。今回の水星食では水星が月に隠される潜入が起こる頃は、まだ地平線下なので観測することができません。しかし、水星が月の端から出現する様子は、中部地方よりも東の地域で観測することができます。
東京の場合では、水星が出現する頃、月の高度は5度あまりしかありません。このときの水星は視直径が6秒、輝面比は0.73で、少し丸みを帯びた形をしています。水星は恒星と違って面積がありますので、出現には20秒ほどかかりますから注意してください。
観測地 | 出現時刻 | 高度 |
札幌 | 6:10 | 7゜ |
東京 | 5:45 | 5゜ |
各地で見た水星食の経過
白昼の木星食
一方の木星食は水星食が起こった後、9時頃に起こります。太陽は東京の場合で30度近くまで上っていますから、白昼での現象となり、木星食を観測するためには天体望遠鏡が必要になります。
月の輝面比は0.04ですから、全体のわずか4%しか光っていません。したがって、月を目印にしようにも見つけるのはちょっと時間がかかるかもしれません。太陽の右側へ23.5度離れた位置に見えるはずですから、慎重に探してください。間違っても太陽を視野に導入することがないよう、十分に注意しましょう。
天体望遠鏡で日中見た木星は、フワフワとして意外と頼りない姿をしています。視直径は大きな木星だけに33秒もありますから、完全に潜入したり出現したりするのに、およそ100秒ほどの時間がかかります。月に木星がジワジワと隠されたり現れたりする様子を見逃さないようにしてください。
観測地 | 潜入 | 出現 | ||
時刻 | 高度 | 時刻 | 高度 | |
札幌 | 9:18 | 28゜ | 10:42 | 29゜ |
東京 | 9:04 | 33゜ | 10:36 | 36゜ |
福岡 | 8:43 | 29゜ | 10:12 | 37゜ |
那覇 | 8:23 | 30゜ | 9:57 | 42゜ |
各地で見た木星食の経過
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