内合でも見える金星 2009年3月25日

夜明け前の東天へまわる金星

 2008年後半から夕空で宵の明星として人目を引いてきた金星ですが、3月25日に内合となります。下の絵をご覧いただくとわかりますが、地球と太陽の間に金星がやってきて、地球から見た金星は太陽と同じ方向に見えることになります。このような現象は内合と呼ばれ、地球よりも内側の軌道を回る惑星が地球を追い越す時に起こります。

 内合の頃の金星は地球へ最も近づきますから、非常に大きく見えます。その反面地球から見た金星は、太陽と反対側の背後から眺める格好になりますから、新月のように見えて光る部分がなくなってしまいます。

地球と金星の位置関係
太陽−金星−地球の順に並んでいる

 ところで、星座間における太陽と金星の位置関係をみてみましょう。下の絵からおわかりいただけますが、太陽と金星の赤経(たてのライン)が同じになっていて、この意味では金星が太陽と同じ方向へやってきます。しかし厳密に言えば、金星は太陽よりも10度近くも北側(上側)にいて、太陽との見かけ上の距離がゼロになるわけではありません。

内合の日 太陽と金星の位置関係
太陽と金星の赤経差はゼロだが、実際には両者の間隔が開いている

 下の絵は3月下旬以降、日の出時刻における金星の位置変化を示したものです。実は内合となる3月25日には、金星はもう見えていますね。内合は「太陽と同じ方向に見える」といいながら、実際には日の出時刻に金星は4度の高度で見えるのです。日の入り直後の低空を双眼鏡で探してみると、もしかすると金星を見つけることができるかもしれません。

 いずれにしても内合以降、金星は夜明け前の東天にまわります。4月から5月にかけて20度過ぎまで一気に高度が上がってきます。高度が最も高くなるのは8月上旬頃ですが、高度は35度前後とあまり高くなりません。

日の出時刻における金星の位置変化
一気に高度を上げてくる

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