土星が衝、天体望遠鏡で観測しよう 2010年3月23日

観測好機となる土星

 年が明ける前頃から、真夜中前になると東の空で顔を見せてくれていたのが土星です。次第に地球との距離が縮まってきていたのですが、ついに3月23日に土星が衝を迎えます。衝とは惑星が太陽とちょうど反対側に見える位置へやってくることです。衝の頃は地球へ最も接近した状態である上に、太陽と反対側に見えることから真夜中に南中し、一晩中天体観測することができます。

 土星は今、おとめ座の方向に見えます。下の星図は3月23日21時頃の場合ですが、南東の方角で空の中ほどに見えます。鈍い黄色をしていて落ち着いた色をしており、明るさも0等級と明るいため、誰でも簡単に見つけることができます。
 

21時頃、南東の空に見える土星

土星の移動経路

 土星は地球との距離が離れているため、それほど大きな動きは見られませんが、惑星であるだけに、恒星を背景にゆっくりと移動しています。下の星図は3月23日の前後2ヶ月間にわたる土星の経路をしめしたもので、土星がいるおとめ座付近を拡大したものです。左下から右上方向へ少しずつ動いていくことがわかります。


前後2ヶ月間にわたる土星の経路

天体望遠鏡で土星を観測しよう

 土星といえば、やはりその環が魅力ですね。土星の環を見るためには双眼鏡では無理で、高い倍率を出すことができる天体望遠鏡が必要になります。環の存在だけなら30倍くらいの低倍率でも確認することができますが、はっきりと観測するためには100倍以上の倍率をかけたいところです。そう言うと初心者の方は必要以上に倍率をかけてしまいがちですが、過剰な高倍率は禁物です。像がぼやけてハッキリ見えなくなってしまうからです。天体望遠鏡の口径の大きさに見合った適正な倍率にとどめるようにしましょう。天体望遠鏡を使って土星を天体観測する時の注意点などをまとめましたので、初心者の方は参考にしてくださいね。

気流の安定した夜に見よう

 惑星を天体望遠鏡で天体観測する場合、気流が落ち着いた夜に観測することは重要なポイントです。気流の状態が悪いと土星の像がユラユラと揺れて土星の像がぼけてしまい、細部をよく見ることができなくなってしまいます。

ピントを合わせよう

 ピントが合っていないと土星や星の像がぼやけてしまいます。像がクリアでハッキリわかるように、ピントをしっかりと合わせてください。早く見たい気持ちはわかりますが、人によってピント位置が違いますし、接眼レンズによっても異なりますから、まず最初にしっかりと合わせてください。

土星の環

 例年だと、環が土星本体を取り巻くようにリング状に見えます。よく見ると、環は2重か3重に見えるはずです。しかし、昨年は土星の環が消失した年だっただけに、今年もまだその影響を引きずっています。環はまだまだ細くて、小型の天体望遠鏡でA環とB環を分離するのは難しいでしょう。

本体の縞模様

 土星というと美しい環の方へ注意が向きがちです。しかし、土星本体にも注目しましょう。木星ほどではありませんが、薄い縞模様が何本か見えることと思います。また、完全な円ではなく、少しひしゃげた楕円形をしている点にも注目しましょう。これは土星の自転による遠心力のために、赤道部分が膨らんでいるためです。

衛星タイタン

 土星には衛星がたくさんあります。その中で最も大きな衛星がタイタン(またはティタン)です。直径は月の1.5倍弱もある大きな衛星で、地球からは8等星くらいの明るさで見えます。これは小型の天体望遠鏡でも見える明るさです。土星のそばでプチッと小さく光っている星がタイタンですので、見逃さないようにしましょう。

 環の開いたカッコいい土星もいいですが、2010年のように細い土星の環というのもオツなものですよ。機会があればぜひ天体望遠鏡を土星へ向けてみてください。もしお持ちでない方は、天体望遠鏡の入門機を買っちゃおうで天体望遠鏡の購入を検討されてみてはいかが?

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ホゲ: そうやって稼ごうとしてるやろ。
つる: アホかいな。土星を見たい人のためを思って、天体望遠鏡を紹介してるだけや。
ホゲ: ホンマか? 怪しいぞ!
つる: 稼ぐというほども稼いでないから。
ホゲ: やっぱり稼いでるやないか!
つる: スズメの涙とはこのことや!

注: 書いていて空しくなってきたので、この辺でやめときます・・・。
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