同時に西方最大離角となる水星と金星 2011年1月9日

水星と金星が太陽から最も離れる

 水星と金星は地球よりも内側の軌道を回る内惑星ですから、太陽から一定の角度以上離れることはありません。逆にいうといつも太陽の近くにいるわけで、太陽から最も離れた時が天体観測を行う最大のチャンスともいえます。幸いなことに1月9日は、二つのチャンスが同時にめぐってきます。つまり、水星と金星が同じ日に西方最大離角となるのです。

 下に示した太陽系の様子をご覧ください。地球から水星、金星の軌道へ向けた接線上に水星と金星がそれぞれ位置しており、太陽から最も離れた状態であることが、なんとなくでもおわかりいただけると思います。

地球、太陽、水星、金星の位置関係


 西方最大離角は太陽から西側へ最も離れることを意味しますから、この日の水星と金星は、夜明け前の東天で見ることができます。下の星図をご覧ください。日の出から40分前に見た南東の空ですが、さすがに空はだいぶ明るくなってきています。金星の方は−4等級と非常に明るい上に高度がありますから、肉眼でも十分に確認することができるでしょう。

 一方の水星は0等級の明るさしかありません。0等級と言うと十分に明るいように思われるかもしれませんが、暗い夜空とは違って背景の空が明るい状態です。しかも高度が10度ほどしかないことから大気による減光を受けてしまい、相当見づらいでしょう。もし可能でしたら双眼鏡を併用されることをおすすめします。

日の出から40分前、南東の様子

 日の出時刻における水星と金星の位置変化(1月9日をはさんだ前後2ヶ月間)の図を示しておきました。実際に天体観測される際の参考にしてください。

前後2ヶ月間にわたる位置変化

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