近日点通過直前となる水星の西方最大離角 2011年9月3日

 水星が太陽から最も離れる最大離角は年に6回起こります。このうちの1回が9月3日に起こり、西方最大離角となります。ところで水星の公転軌道は離心率が0.20563となっており、太陽系で8個ある惑星の中では最も楕円がきつくなっています。このため太陽に最も近づく近日点と最も離れる遠日点で、太陽からの距離の違いが大きくなります。水星は2011年9月8日に近日点を通過しますから、9月3日の西方最大離角はその直前で、太陽に大きく近づいた地点での最大離角となります。このため太陽からの離角は18.1度しかありません。今年最も太陽から離れる7月20日の26.8度と比べると、その差は歴然です。

 それでは9月3日の観測条件が悪いのかというと、必ずしもそうではありません。下の星図をご覧ください。東京で日の出から40分前の東天のようすですが、水星の高度は8.7度あります。水星は概ね天の黄道と呼ばれる黄色い線に沿って移動していますが、この時期は天の黄道が地平線に対して垂直方向(とまではいきませんが・・・)に伸びています。このため、太陽からの離角の角度がそのまま水星の高度に反映されるので、条件的にはそれほど悪くありません。

 水星の明るさは0等級ですが、まわりは既に明るくなり始めています。肉眼では見つけにくいかもしれませんので、少し早い目から探し始め、双眼鏡の助けを借りて水星探しに挑戦してください。

水星が見える位置



日の出時刻における水星の位置変化

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つるちゃんのプラネタリウム 天体観測ガイド2011年