さそり座δ星食 2011年10月1日

 星食は月が恒星を隠す天文現象です。暗い恒星なら頻繁に起こっていますが、明るい恒星となるとそれほど多くは起こりません。10月1日の夕方には、さそり座のδ星(デルタ星)が月に隠される星食が起こります。さそり座δ星はジュバと呼ばれる2.3等星です。さそり座の1等星アンタレスの西側(右側)には青白い星が3つ縦に並んでおり、δ星はその真ん中の星です。

 さそり座δ星といえば10年前の2001年に、突然1.7等に増光して話題になりました。2005年頃まで1等台の明るい状態が続きましたが、その後はもとの明るさに戻りました。しかし今年になって再び突然明るくなって、7月上旬には1.5等前後の明るさで観測されています。

 だいぶ前置きが長くなりましたが、今回のさそり座δ星食は全国で見ることができます。場所によって多少時刻が異なりますが、潜入はだいたい18時30分前後に起こります。日没が遅い西の地域ほど太陽が沈んでから時間がたっておらず、空が明るい状態での観測となります。しかも高度は低いですから、条件的にはよくありません。観測するためには肉眼では難しく、双眼鏡か天体望遠鏡が必要と思っておいた方が良いでしょう。

 一方の出現は、だいたい19時40分前後に起こります。潜入よりも時刻が遅くなる分だけ薄明が終わっていて、空が暗くなっています。しかし月の高度がさらに下がって、地平線近くになってしまいます。北の地域では月没後の現象となり、出現のようすを天体観測することはできません。しかし西の地域では月没まで時間に余裕がありますから、条件的には多少良くなります。

南西の空、低空に見える月



各地の見え方

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