水星が東方最大離角で見つけやすい 2012年7月1日

 水星は太陽系で最も内側を回る惑星であることはご存知でしょう。このため公転周期が短く、地球に近づく会合周期は115.88日と惑星の中で最も短くなっています。これは1年365日の3分の1弱にあたります。地球と会合する前後で太陽から最も離れる最大離角が起こりますから、年間を通して水星は年に6回強、太陽から離れる機会があります。地動説で有名なコペルニクスでさえ見たことがなかったといわれる水星を見つけるには、この機会を逃す手はありません。

 といっても最大離角となった際の観測条件は毎回同じというわけではありません。水星軌道の楕円がきついことから太陽との離角が一定でない上に、観測地から見て太陽から離れる方向が毎回異なるからです。ポイントは観測地から見たとき、日の入りや日の出頃に、地平線から垂直方向(天頂方向)へどれだけ離れてくれるかです。極端な話をすると、観測地から見て地平線をはうような格好で太陽から離れた場合は、いくら離角が大きくても高度は0度にしかなりません。逆に地平線に対して垂直となる方向へ離れた場合は、日の出や日の入り時点で水星の高度が高くなり、離角は小さくでも見つけやすくなります。

 少し難しいことを書きましたが、7月1日は水星が太陽の東側へ最も離れる東方最大離角となります。この頃の水星は2012年の中では最も条件が良く、日の入り時点での水星の高度が高くて見つけやすくなります。実際に最も高度が高くなるのは7月1日ではなく、数日前の6月下旬頃となります。

 下の絵は東京での日の入り時刻から40分が経過した西天のようすです。水星の明るさは1等星よりも少し明るい0.6等ですが、空はまだ少し明るくて薄明状態ですから見つけにくいでしょう。日の入り以降は空が暗くなっていくプラス面と、水星の高度が下がっていくマイナス面があり、両者の競争になります。ほどよい頃合いになると水星が見つかります。視力に自身のない方は、双眼鏡の助けを借りた方がよいかもしれませんね。

日の入りから40分が経過した東京での西天
日の入りから40分が経過した西の空。水星は高度10度くらいの位置にみえる。


日の入り時刻に水星が見える位置
日の入り時刻に水星が見える位置

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