水星が西方最大離角、月も近づき見つけやすい 2012年8月16日

 8月16日は水星が西方最大離角となります。前日に金星が西方最大離角となったばかりですね。わずか1日違いで水星と金星がダブルで西方最大離角となるのです。なんと珍しい? 実をいうと、前回金星が西方最大離角となったのは2011年1月9日でしたが、このときは水星と金星が同じ日に西方最大離角となりました。前回は同じ日で、今回は1日違い。しかしこれは偶然ではありません。

 地球と惑星が近づく周期は会合周期とよばれています。水星と金星の会合周期はそれぞれ115.88日と583.92日となっています。水星の会合周期を5倍すると579.40日となり、金星の会合周期と4.52日の差しかありません。つまり、水星が5回の西方最大離角を繰り返すと、金星も4.52日の差で西方最大離角になることがわかります。もちろんこれは平均すればの話です。水星の軌道は楕円がきついため多少のズレが生じます。そんなことで、前回同じ日に西方最大離角となった両惑星は、今回もわずか1日違いで西方最大離角となるのです。ちなみに5回後の水星西方最大離角は2014年3月14日で、次回の金星西方最大離角は3月23日となっており、少しズレが大きくなります。

 前置きがだいぶ長くなりましたが、下の図は日の出時刻に見える水星の位置変化と水星の形を5日間隔でプロットしたものです。8月中旬頃に水星の高度が最も高くなっており、見つけやすい状態になっています。

日の出時刻に見える水星の位置
日の出時刻に見える水星の位置変化

 偶然ですが、この日は月齢27.6の月が水星に近づきます。下の星図は東京の日の出から40分前、東の空を眺めたようすです。日の出が近づいていることもあって空がだいぶ明るくなっています。水星の高度は10度を切る8.5度しかありません。幸いなことに、8月16日は低空に月が見えますから、まずこれを見つけましょう。月から見て左側、やや下方向に小さく光る星が見つかれば、それが水星です。視力に自身がない方は双眼鏡の助けを借りた方がよいでしょう。星図を参考にしながら月を頼りに、ぜひ水星を探してみてください。

水星に月が近づいたようす
月から見て左側、やや下方向に水星が見える


月の形
細い月

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