2014年5月25日 水星を見つけるチャンス!

 水星が5月25日に東方最大離角となり、水星を見つける最大のチャンスが到来します。毎年この時期に迎える東方最大離角は、年間を通して一番条件が良くなるのですが、特に今回は日の入り時刻における水星の高度が東京で20度に達します。これほど良い条件で観測できるのは、今後2020年まで起こりません。なかなかお目にかかる機会が少ない水星ですが、5月25日は日曜日。一度水星探しに挑戦してみられてはいかがでしょうか?

水星を見つける最高の条件

 水星は例年、年間6回の最大離角があります。最大離角とは水星が太陽からもっとも離れた位置にやってくることです。太陽から離れると、それだけ太陽の光に邪魔されなくてすみますから、観測条件が良くなります。しかも今回の最大離角は、年間を通して高度が最も高くなり、東京で日没時刻における水星の高度が20度に達します。こんなに良い条件の最大離角は、7年または8年周期でしか起こりませんから、このチャンスを逃す手はありません。

日の入り時刻における水星の位置変化(5日間隔)

水星の見つけ方 −日の入り後、西北西の低空に注目

 下に示した星図は、5月25日の日の入り時刻から40分が経過した西北西の空のようすです。

 この日は真西の上空に-2.0等の明るい木星が見えます。木星の方が先に見え始めますから、まずこれを見つけましょう。水星は木星の右ななめ下にありますから、およその位置の見当をつけてください。水星は10度を少し超えたあたりの低空にあります。薄明の中でポツンと光る星を探しましょう。

 それから気を付けていただきたいのは、すべての星は時間の経過とともに動いていくことです。西空では真下ではなく右下方向へ動いていきますから注意してくださいね。

水星が見える位置

何時ごろがよい?

 先に示した星図は日の入りから40分後ですが、空はまだ明るい状態です。実際にはもう少しだけ後の方が空が暗くなって見つけやすくなります。しかしあまり時間を遅くすると、低い位置に移動するので見づらくなります。日の入り時刻の40分後から見始めて、1時間ほどがんばれば、どこかで見つけられるでしょう。日の入り時刻は観測する場所によって違いますから、下の表を目安にしてください。

[日本各地の日の入り時刻と水星の高度]
観測地 5月18日 5月25日 6月1日
日の入り 水星高度 日の入り 水星高度 日の入り 水星高度
札幌 18:54 17.9度 19:01 18.3度 19:07 15.7度
仙台 18:43 18.7度 18:49 19.4度 18:54 16.8度
東京 18:41 19.1度 18:46 20.0度 18:51 17.5度
名古屋 18:51 19.3度 18:57 19.9度 19:01 17.6度
金沢 18:56 18.9度 19:01 19.8度 19:06 17.2度
大阪 18:56 19.2度 19:01 20.1度 19:06 17.5度
広島 19:07 19.4度 19:12 20.3度 19:17 17.7度
福岡 19:14 19.4度 19:19 20.3度 19:23 17.9度
鹿児島 19:09 19.6度 19:14 20.5度 19:18 18.1度
那覇 19:10 20.1度 19:14 21.2度 19:17 19.1度

水星の明るさ

 5月25日の水星の明るさは0.4等ですが、日々暗くなっています。たとえば一週間前の5月18日では-0.2等と明るいですが、一週間後の6月1日だと1.2等まで光度が落ちています。その点では東方最大離角となった後よりも、前に観測した方が有利といえます。下に示した水星の光度曲線のグラフを参考にしてください。

光度曲線

空が澄んだ日を選ぼう

 水星は5月25日だけしか見えないわけではありません。前後10日間くらいは見やすい状態が続きます。いずれにしても低空に見えますから、どうしても大気の減光や薄いモヤの影響を受けて見えにくくなりがちです。ですから空が澄んだ日を選ぶのがポイントです。最近はPM2.5もあって、これも大敵ですから、お天気だけでなくPM2.5の予報にも注意してください。

双眼鏡を使おう

 実際に見てみると、条件によっては思っていたよりも肉眼では見えにくいかもしれません。そんな時に備えて双眼鏡を用意しておかれるとよいでしょう。双眼鏡は肉眼よりも多くの光を集めてくれますから、肉眼では見えなくても双眼鏡なら見えることができるのです。できれば口径が40mm以上と大きくて、倍率が低いもの(10倍以下)がよいでしょう。

それでは水星探し、がんばってください!

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