火星が留、逆行へ 2016年4月17日

 これまで火星は長らく順行をしてきました。星図では右から左へ移動していたわけですが、4月17日の留を境にして動く向きが逆転し、これを留といいます。つまり、星図上で火星は左から右へ動くようになり、逆行に移ります。

 もちろんこれは、5月31日に地球最接近を迎えることに向けての準備といえます。つまり、太陽系で内側の軌道を回る地球が、外側の軌道を回る火星を追い越すときに起こる、一時的な現象なのです。

 留になって惑星が逆行に移るのは、観望期入りのサインでもあります。実際、この日の火星は視直径が14秒と、だいぶ大きくなっています。明るさも -1.0等とかなり明るく、火星の異様な赤さが目に付くでしょう。火星が観望期に入ってきますから、天体望遠鏡を使ってぜひ火星を観測していただきたいと思います。

 それから、火星から南へ5.1度離れたところに、さそり座の1等星アンタレスがあります。火星と赤さを競う星として有名ですから、どちらが赤く見えるか実際に比べてご覧になってください。

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