土星が衝 2017年6月15日

 6月15日に土星が衝となります。衝とは惑星が太陽から180度離れた位置にやってくることです。下に示した太陽系の図をご覧ください。太陽、地球、土星がこの順に一直線に並んでいます。地球から見た土星は太陽とちょうど反対側にあり、衝であることがわかります。

土星と地球の位置関係

 
 次に、土星の地心距離のグラフを見てみましょう。6月中旬に最も小さな値を示しています。土星は地球に近づいていますので、天体観測に適しています。

土星の地心距離

 
 下の星図は21時ごろ、南東方向の夜空を眺めたようすです。あまり高くない位置に土星が見えます。土星は0等級と明るいですし、独特の落ち着いた黄土色をして目立ちます。近くにさそり座の1等星アンタレスがありますが、こちらは赤い色をしていますので、見間違えることはありません。
 
 土星に天体望遠鏡を向けると、開いた環や本体の縞模様を観測することができます。天体望遠鏡をお持ちでない方は、近くの天文施設へ出かけましょう。土星の観望会が開かれていることも多いですから、見たことがない方はチャンスですよ。

土星が見える位置

 
 ここで、ちょっと変わった話題です。下の図は20年間にわたる、土星と太陽間の距離を示したグラフです。土星の公転周期は30年ですから、30年周期で太陽へ近づいたり、太陽から遠ざかったりします。といっても土星は円に近い軌道を描きますから、その差は1AU程度しかありません。

 グラフを見ると2017年(左端)は、太陽から遠ざかった時期にあります。そんなこともあって衝といいながら、地球からちょっぴり遠い位置での衝となります。

20年間にわたる土星の日心距離

 
 土星といえば最近、探査機カッシーニが9月15日に土星の大気圏へ突入して燃え尽き、20年間の任務を終えるニュースがありました。最後までがんばるカッシーニの姿を思い浮かべながら、土星を眺めてみられてはいかがでしょうか。

関連記事
  2016年6月3日 土星が衝