日本で見られる金環日食

 21世紀中に日本付近で見られる金環日食は全部で6回です。このうち最近では、なんといっても2012年5月21日に見られた金環日食でしょう。太平洋側の広い地域で金環日食を見ることができて印象的でした。今後最短で日本で見られる金環日食は、2030年に北海道で起こるものです。

2012年5月21日 太平洋側の広範囲

 国内では1987年に沖縄本島で見られて以降25年ぶりの金環日食となりました。金環帯の広さは最大で236.9Kmと広い目で、九州南部から四国の大部分、近畿南部、東海、関東の広い地域で金環日食が見られました。金環帯の中心線が九州の南端から紀伊半島の南端、そして静岡県から神奈川県、千葉県といったあたりを通っており、日本列島の南側へずれているのが少し残念でしたが、贅沢ですね。金環帯に入らないその他の地域でも、80%以上も欠けるような大きな部分日食を見ることができ、日本の日食史にページを刻みました。
 
最大食のようす

※デルタT=67.7秒で計算

 金環帯の中心線が東京付近を通ったため、東京では最大食の頃には同心円となったリング状の太陽を見ることができました。東京では6時19分に始まり、7時35分に最大食、9時3分に終了します。金環日食が5分4秒継続しますから、見ごたえ十分でした。この頃には太陽高度が35度あるので、こちらの面でも文句はありません。なお、下の絵で最大食の頃に太陽の右上で小さく光っている点は木星と水星ですが、実際に見るのは難しかったと思われます。
 
東京から見た太陽の位置

2030年6月1日 北海道

 2023年の部分日食以降、日本で7年ぶりに見られる日食は金環日食となります。日本で見られる金環日食としては、2012年に起こるものから18年ぶりです。中心線が北海道の中央部を北西から南東に横切りますから、北海道の大部分が金環帯に入ります。北海道から離れて南西へ行くほど食分は小さくなりますが、距離が離れた福岡あたりでも66%も欠ける大きな日食となります。
 
最大食のようす
 
 札幌では15時41分に始まり、16時56分に食の最大、18時3分に終了します。4分16秒も金環日食が継続しますから見ごたえがありそうです。
 
札幌から見た太陽の位置

2041年10月25日 日本列島中央

 北陸から東海地方を北西から南東方向にかけて金環帯が通過します。中心線は若狭湾の北端から岐阜、浜松付近を通ります。日食は午前中に起こり、全経過を見ることができます。中心線から少し外れる名古屋でも金環日食が5分17秒も継続します。その他の地方でも日本列島各地で80%以上も欠けた太陽を観測することができるでしょう。
 
名古屋での様子。同心円に近い太陽の環が見られる

2074年1月27日 鹿児島県

 国内では33年ぶりとなる金環日食です。金環帯は鹿児島県大隈海峡付近を通過します。鹿児島県南部の薩摩半島南部と大隈半島南部、種子島、屋久島、および宮崎県最南端が金環帯に入ります。鹿児島県枕崎では1分0秒、九州最南端の佐多岬では2分17秒、金環日食が継続します。金環帯の幅が狭いので、鹿児島市や宮崎市はギリギリ金環日食にはなりません。日本各地で大きな食分の日食が観測できますが、近畿以東では最大食を迎える前に日没となってしまいます。例えば大阪では92%まで欠けたところが見られますが、東京では71%止まりです。
 
九州最南端でもかろうじて金環食になる

2085年6月22日 沖縄

 沖縄本島を金環帯が横切り、中心線が沖縄本島の北部を通ります。金環帯の幅が最大でも106.4Kmと狭いのですが、那覇でもなんとかギリギリ細いリング状の太陽を54秒間見ることができます。少し北に位置する名護では3分28秒継続します。福岡で77%、大阪で71%欠けるなど、日本各地で大きく欠ける日食を全経過楽しむことができるでしょう。
 
沖縄本島の名護で見た太陽は、ごく細いリング状になる

2095年11月27日 西日本の本州と四国

 今世紀最後の金環日食です。島根県、広島県、および徳島県と高知県の境界付近を金環帯の中心線が南東方向へ横切ります。金環帯の幅が最大で284.8Kmと広いので、中国・四国地方のほぼ全域と近畿地方の南西部の広い範囲で金環日食を見ることができます。西日本を中心に日の出とともに日食が始まります。この日食は金環継続時間が長いのが特徴で、例えば中心線に近い三原ではでは6分31秒も継続します。金環日食とならない地域でも、大阪で92%、東京で84%、札幌でも67%欠けるなど、日本全国で大きく欠けた太陽を観測することができます。
 
広島では太陽の太いリングが見られる

世界で見られる皆既日食、金環日食
20世紀に日本で見られた金環日食