20世紀に日本で見られた皆既日食

 ここでは、20世紀に日本で見られた皆既日食を5つ紹介します。実は5つのうち3つは北海道で起こったもので、短い期間に3回も皆既日食が見られたのは特筆ものといえるでしょう。

1918年6月9日

 日本の南海上を日本列島に平行して皆既帯が通り、わずかに鳥島と北大東島がこの帯の中に入りました。しかし、それ以外の地域では皆既日食を見ることはできず、南大東島では太陽高度が1度のところで食分0.999というニアミス状態で終わりました。

1936年6月19日

 20世紀は日本列島本土で皆既日食が3回見られましたが、その1回目がこの日食です。北海道北部の海岸線沿いを沿うように皆既帯が通っており、稚内では午後3時過ぎ頃に約2分間皆既が継続しました。太陽のすぐ右下には1.5等の火星と−3.9等の金星が接近して縦に並んで見えたことでしょう。
 
1936年

1941年9月21日

 1941年の日食では、台湾北部をかすめるように皆既帯が北西から南東へ横切りました。日本では先島諸島が皆既帯の中に入り、石垣島、西表島、与那国島で皆既日食が見られました。島の南部を中心線が通る石垣島では、皆既状態が3分以上継続しました。

1943年2月5日

 1936年の北海道皆既日食からわずか7年後に起こったのが、1943年の皆既日食です。皆既帯が北海道の中央部を通っていたことから、北海道の広い範囲で見られました。旭川の場合だと、始まりの時刻が6時45分50秒ということで、ほぼ日の出とともに日食が始まりました。その後1時間少しで太陽は月によって完全に隠され、この状態が2分弱継続しました。下の絵のように、高度が10度あまりという低い位置で起こりました。
 
1943年

1963年7月21日

 1943年の北海道皆既日食から20年後、北海道北東部の一部で再び皆既日食が見られました。北海道の網走では日の出の時点で太陽は既に70%ほど欠けていました。そして日の出から16分後、30秒間だけ皆既日食が見られました。このときの太陽高度は、わずか1.7度しかないという、超低空での天文ショーとなりました。コロナが怪しげに光る太陽の右上には、−3.9等で輝く金星を見ることができて、さぞかし美しい光景だったことでしょう。
 
1963年

日本で見られる皆既日食