皆既日食と金環日食の両方が起こる理由

皆既日食と金環日食の両方が起こる理由

 太陽と月までの距離と大きさを比較してみましょう。太陽の半径は69万6千Kmと大きなものです。また、地球から太陽までの距離は平均で1億4959万7870Kmもあります。太陽は非常に大きいのですが、非常に遠いところにあります。一方、月の半径は1738.092Kmで、地球から月までの平均距離は38万4401Kmです。ここで、ちょっと割り算をしてみましょう。

(太陽の半径) ÷ (月の半径) = 400.44
(太陽までの距離) ÷(月までの距離) = 389.17

 ふたつの数値を比べてみると、近い値になっています。太陽はすごく大きいけれどもずっと遠い所にあります。一方、月は太陽よりも小さいけれど、近いところにあります。この微妙な関係によって、太陽と月は見かけ上、ほぼ同じくらいの大きさに見えるのです。

(太陽の平均視半径) = 15分59秒.63
(月の平均視半径)   = 15分32秒.58
注: 1分=1度/60、 1秒=1分/60

 これだけを見ると、太陽の方が月よりも少しだけ大きいので、金環日食しか起こらないように思えます。しかし、地球から太陽までの距離と、地球から月までの距離はたえず変化しています。このため、太陽は大きく見えたり小さく見えたりしますし、月も同じように大きく見えたり小さく見えたりします。これによって、月が太陽を全部隠す皆既日食になったり、月が太陽を隠しきれない金環日食になったりするのです。

 ここからは余談になりますが、地球と月の距離は年々わずかずつですが遠ざかっています。ということは、月の大きさは少しずつ小さくなっていることになり、遠い将来には皆既日食が起こらなくなってしまうかもしれません。