6月1日23時、7月1日21時、8月1日19時
はくちょう座の見え方 |
はくちょう座付近の星図 |
南半球の南十字星(みなみじゅうじ座)は有名ですね。これに対して北半球に北十字星があるとすれば、このはくちょう座でしょう。特に西の空に沈む時には大きな十字架のように見えます。「つるぷらが描く珍しい天文現象」の中にあるキリスト時代のはくちょう座の十字架も参照してください。
大きさを比較すると、南十字星よりもはくちょう座が作る北十字星の方が3倍もの大きさがあります。なお、はくちょう座はトレミーの48星座の一つです。
あるとき、大神ゼウスはスパルタ王の后レダを見初めてしまいました。大神ゼウスは美しい白鳥になって彼女に近づいたのですが、このときの白鳥が星座にされたのだそうです。レダは後に2つの卵を産みましたが、このうちの一つからふたご座の兄弟であるカストルとポルックスが誕生し、もう一つの卵からはヘレンとクリュタイムネストラの姉妹が誕生したと伝えられています。
はくちょう座の1等星デネブはこと座のベガ、わし座のアルタイルとともに夏の大三角をつくっています。デネブの明るさは1.3等星と、1等星の中ではさえない方に属します。しかしその距離は実に1500光年も離れているのです。直径は太陽の200倍もあり、放つ光の量は太陽の6万5千倍といいますから、ちょっと想像がつきませんね。
星空の中で2重星は特に珍しい存在ではありませんが、白鳥のくちばしに位置するβ星のアルビレオは格別の美しさがあります。倍率の高い双眼鏡か天体望遠鏡でのぞいてみてください。金色の主星とエメラルド色の伴星が寄り添う姿はため息が出るほどの美しさです。
ε星とζ星の中間付近には天体写真でおなじみの網状星雲があります。網状星雲ははくちょう座ループとも呼ばれます。これは昔に超新星が爆発してできた残骸で、超新星残骸に分類されます。赤色の淡い星雲なので天体写真だけの対象かと思っていたら、案外そうでもありません。少し大きめの天体望遠鏡でのぞいてみると、フィラメント構造を持ち、カーブした大きな星雲が意外にハッキリと見えます。しかし、空がかなり暗くないと難しいかもしれません。つるちゃんも初めて見たときはかなり感動しました。
8月18日頃に極大となるのがはくちょう座κ流星群です。1時間あたりに最大で3個程度しか流星は流れませんが、ゆっくりと流れて末端で増光し、爆発するのが特徴です。ユニークな流星群ですから一度ご覧になってみてください。
はくちょう座にはX−1という天体があります。はくちょう座X−1は初めて発見されたブラックホールとして知られています。ブラックホールは光さえも吸い込んでしまうくらいに強い重力を持った天体です。はくちょう座X−1は強いX線を放っています。これは、X−1の周りを回る恒星からブラックホールにガスが吸い込まれる時に周囲の物質との摩擦で高温になり、これによって強いX線が放たれると考えられています。