こぐま座

北の空の高度40度で南中する日時のめやす

5月1日1時、6月1日23時、7月1日21時

こぐま座の様子(2月・北の空)

こぐま座の見え方

こぐま座の見え方

こぐま座付近の星図

こぐま座

天に上げられた悲しい親子熊

 月と狩の女神アルテミスに仕えるニンフの中にカリストという娘がいました。カリストはそのうち大神ゼウスの寵愛を受けるようになり、男の子アルカスを生んでしまいました。これを知ったアルテミスはひどく怒り、カリストを熊にしてしまいました。一方、アルカスは立派な青年に成長し、狩の名手となりました。

 とうとう運命の日がやってきました。アルカスは狩をしているときに熊の姿に変えられた母親のカリストと出会ってしまったのです。そうとも知らないアルカスは熊の胸に槍を突き立てようとしました。その瞬間、この様子を見ておられた大神ゼウスは2人を天に上げ、大小熊の星座(こぐま座とおおぐま座)にし、アルカスが母殺しを犯す罪から救ったのだそうです。

小さなひしゃく

 日本付近の緯度ではこぐま座は一年中地平線に沈むことがありません。α星の北極星を目印にすれば、こぐま座の7個の星が作る小さなひしゃくを見つけ出すことができます。ただし、北斗七星が作るひしゃくよりも星が暗いので、空が明るい場所からだと、少々てこずるかもしれません。

北極星

 北極星天の北極付近にあるため、地球の自転によらず不動の位置にあるように見えます。ところが、歳差運動とよばれる地球の自転軸の首振り運動のため、北極星は2103年に天の北極へ最も近づいた後、次第に天の北極から離れていきます。そして、その後2500年も経つと30度も離れてしまいます。北極星は中国名ですが、和名は子の星(ねのほし)です。方角を十二支で表したとき、北の方角は子(ね)ですから、子の星というわけです。また、北の一つ星という呼び名もあります。

 北極星は430光年も離れたところにあります。それでいて2等星で輝くのですから、相当に明るい星です。例えば太陽をこの距離まで遠ざけたとすると10等星にしかなりません。

2個目の2等星コカブ

 こぐま座といえば北極星がある星座と思われているでしょう。事実その通りで、北極星はあまりにも有名な2等星です。このためあまり目立ちませんが、こぐま座にはコカブとよばれる2個目の2等星があります。北極星を探されるさいには間違わないようにしましょう。コカブは今から3千年前には当時の北極星だったことが知られています。

やらい星

 やらい星は、こぐま座のβ星とγ星の和名です。これは鬼やらいからきており、やろう星、ぢゃろっ星などとも呼ばれます。北極星の周りを回る北斗七星は、隙あらば北極星を襲おうと狙っています。しかし、やらい星もまた北極星の周りを回りながら、これを阻んでいるのだそうです。また西洋でも同じような見方があり、こぐま座β星とγ星の二つの星を「極の守衛(ガーツ)」とよんでいます。

こぐま座流星群

 12月の流星群といえばふたご座流星群が有名ですが、その後、年末を飾る流星群がこぐま座流星群です。こぐま座流星群はβ星のコカブ付近を輻射点とし、例年12月22日か23日に極大となります。出現数はあまり多くありませんが、突発的に多く出現する年がありますから注目しておく必要があります。