金星(きんせい)
金星は地球のすぐ内側をまわる惑星で、古くから明けの明星、宵の明星として親しまれてきました。また金星の直径は地球より約5%小さいだけで、地球のすぐ隣にある兄弟惑星とでもいいたくなる惑星です。それゆえに、熱心に観測されてきたのですが、金星の素顔が明らかになってきたのは、比較的最近のことです。というのも、金星を天体望遠鏡でのぞいたことがある人はおわかりでしょうが、強烈に光輝く像が見えるだけで、表面の様子はさっぱりわかりません。これは金星が厚い雲に覆われているためです。
金星には非常に濃い大気があり、金星の地表では90気圧(地球の90倍)もあります。また地表の温度は480度にもなります。どうしてこのように異常なまでの高温なのでしょうか。それは金星の大気の炭酸ガスのせいです。炭酸ガスは一度取り込んだ熱を逃がしません(温室効果と呼びます)。このため金星の表面の温度はどんどんと上昇し、このような高温となってしまったのです。しかも金星上空では濃硫酸の雨が降っているのです!地球と金星は兄弟星どころか、天国と地獄ほどの差があります。
金星の1日はかなり変わっています。金星の自転周期は公転周期を上回っています。つまり、金星の1日は金星の1年よりも長いのです。しかも金星の自転の向きは地球とは逆向きです。金星では太陽は西から昇り、東へ沈みます。
「天文ソフトつるちゃんのプラネタリウム for Windows」では金星から見た星の動きを再現できます!
金星は内惑星ですから、明け方か夕方にしか見ることはできません。それでも水星の場合とは違って、太陽から比較的離れる上にマイナス4等星くらいまで明るくなりますから、見つけるのは簡単です。この明るさのため条件さえ整えば、金星を昼間に見つけることができます。また、金星の光で影ができるという人もいます。
金星を見つけるためのポイント 夕方か明け方に一番明るく光る星(宵の明星、明けの明星) ・真夜中に見ても金星を見ることはできません。 ・日の入り後の西の空、日の出前の東の空で、ピカーッと光っている星があればそれが金星です。 ・明るさはマイナス4等星くらいです。 ・金星の英語名はビーナス。愛の女神をご覧になれば、いいことがあるかも? ・たまにUFOと間違う人もいますのでご注意(笑)。 時期を選ぶ ・日の出、または日の入り時に金星と太陽との離角が大きく、高度が高くなる時期がチャンスです。 ・好条件となる時期は年により異なります。 ・「つるちゃんのプラネタリウム for Javaアプレット」の中にある「内惑星の位置」を参考にしてください。 金星の見つけ方は、「探そう・・・目印/惑星/星雲・星団」の中にある惑星の金星の見つけ方も参照してください。 |
金星の観測ポイント 形と大きさの変化 ・地球と金星の位置関係により、金星の形や大きさが変化します。 ・大きくなった頃の金星は、細い電線にかかっても完全には消えません。 ・天体望遠鏡では100倍くらいの倍率をかければ十分でしょう。 ・内合の頃には新月か細い三日月形の大きな金星を見ることができます。 ・外合の頃には満月形の小さな金星になります。 ・東方最大離角や西方最大離角の頃には半月形になります。大きさは中くらいの大きさです。 ・「つるちゃんのプラネタリウム for Javaアプレット」の中にある「惑星の満ち欠け」を参考にしてください。 天体望遠鏡で自分も金星を見てみたいという方は、天体観測入門の中にある天体望遠鏡の選び方も合わせてご覧ください。 |