位置と見つけ方

 エンケ彗星は春の星座を大きく移動する経路をたどり、位置は日によってどんどん変化します。といっても基本的に夜明け前の東天に見えますから、早起きして見つけましょう。10月下旬の前半までは月明かりの影響を受けます。影響が少なくなる10月末以降にご覧になるのが良いでしょう。以降では、エンケ彗星の位置と見つけ方を紹介します。

経路の全体

10月下旬

 10月下旬のエンケ彗星は、こじし座からスタートします。その後、しし座が作るライオンの腰の上あたりを通って、かみのけ座の端に入ります。

 10月23日から24日にかけて、しし座のδ星に4度強まで近づき、27日から28日にかけては、しし座のしっぽにあるβ星(デネボラ)へ4度弱まで近づきます。この頃は両星を目印にすると見つけやすいでしょう。

 また、10月29日から11月2日にかけては、おとめ座銀河団の銀河へ大きく近づきます。M98、M99、M84、M86などに相次いで接近し、天体写真の良い対象となりそうです。

 東京の場合では朝の4時頃、東の空に注目しましょう。下に出てくる見え方を示した星図では、東京と経度が異なる大阪の場合では4時20分頃、福岡では4時40分頃に、同様な星空が見られます。以降でも同じように、20分または40分を加算して読み替えていただければ結構です。

10月下旬の経路

※星図に書かれた日付と時刻はあまり意味がありませんので気にしないでください。


10月27日4時頃の見え方

※エンケ彗星はしし座の2等星デネボラに近づいています。東京の場合だと、あと30分ほどで空が明るくなり始めますから注意しましょう!


10月30日4時頃の見え方

※M84とM86、およびM99に近づいています。

11月上旬

 11月上旬は、おとめ座銀河団を抜けて、おとめ座を大きく斜めに横切る経路をたどります。11月4日から5日にかけて、おとめ座δ星(3.4等)へ1度を切るところまで近づいて、見つけやすくなるのでねらい目です。10月下旬から11月上旬頃、明るさはピークを迎えています。予報では7.2等から7.3等の明るさです。

 エンケ彗星がおとめ座へ移動する関係で、10月下旬頃と比べると低い場所に見えます。星図では11月5日、4時30分頃のようすを掲載しておきました。

11月上旬の経路

※星図に書かれた日付と時刻はあまり意味がありませんので気にしないでください。


11月5日4時30分頃の見え方

※おとめ座δ星のすぐ左下に見えています。東京ではあと10分ほどで空が明るくなり始めますから注意しましょう!

11月中旬

 11月中旬のエンケ彗星は、おとめ座の南東部を通過し、てんびん座に入ります。太陽に近づいてきて観測条件が悪くなってきますから、できるだけ早い目に見ておかれるのが得策です。

 星図は11月12日、4時50分頃としました。位置がますます低くなって見づらくなっています。空も明るくなり始めていますから、観測する前によく位置を確認しておき、手際よく観測を済ませたいところです。

11月中旬の経路

※星図に書かれた日付と時刻はあまり意味がありませんので気にしないでください。


11月12日4時50分頃の見え方

※おとめ座の1等星スピカの左側に見えます。東京では空がすでに明るくなり始めています。

つるちゃんのプラネタリウム エンケ彗星(P2/Encke)が双眼鏡で見える