アイソン彗星の見え方 11月29日

 2013年11月29日は、アイソン彗星が太陽へ最も近づいて近日点通過する日です。近日点通過は朝3時35分に起こり、東京ではその3時間後となる6時34分にアイソン彗星が昇ってきます。ですから日の出頃はアイソン彗星が太陽にかなり近づいた状態ということができます。これは彗星が明るくなっていい反面、太陽へ近づき過ぎて太陽光が邪魔になるうえに、観測には危険を伴うという悪条件ともなります。いってみれば諸刃の剣といったところでしょうか。近日点通過後の11月29日に、果たしてどのような姿を見せてくれるのか、見える方角や太陽に対する位置などを確認していくことにしましょう。

11月29日7時頃(日の出直後)

 アイソン彗星が近日点通過する前後は、太陽に非常に近づいた状態となります。彗星頭部を直接観測することは難しいですし、非常な危険を伴います。あまり知識や経験をお持ちでない方が、この時間帯に観測するのはおすすめしません。

 下の星図は、東京で日の出から20分後となる南東方向のようすです。アイソン彗星は太陽のすぐ左側にあります。太陽の中心から1.3度しか離れておらず、へばりつくような格好です。近日点通過から3時間ちょっとしか経っておらず、明るさは-4.3等です。金星なみの明るさですが、これだけ太陽に近いと、さすがに直接観測するのは困難でしょう。

11月29日7時頃、南東方向 日の出から30分後の見え方

11月29日9時頃

 次の星図は、近日点通過から5時間半が経過した9時頃のようすです。彗星は太陽の左上側、ごく近い位置に見えますが、7時の場合と比べて左上方向に移動しています。このときの彗星の明るさは-3.2等です。7時から2時間しか経っていませんが、1等級も光度が落ちています。太陽からは1.8度離れてきましたが、やはり太陽に近すぎて観測は困難でしょう。

11月29日9時頃、南東方向 太陽のすぐ左に見えるアイソン彗星

11月29日15時頃

 11月29日15時以降から日没にかけては、昼間にアイソン彗星を観測するのに最適です。太陽の高度が下がって太陽光が弱まりますし、彗星が太陽から少しずつ離れてきて観測しやすくなるからです。下の星図は15時の場合です。近日点通過から半日ほどが経過して、アイソン彗星は太陽の右上側へ少し離れたところに見えるでしょう。そして、双眼鏡を使えば昼間でも彗星を確認できるかもしれません。

 しかしながら、これは当初の予報のように15時に-7.7等の明るさで見えてくれればの話です。現在の予報では-1.4等の明るさしかありませんから、相当厳しいものがあります。それでもチャレンジされるという方は、太陽がすぐ近くにありますから誤って太陽を視野に入れないようにくれぐれも十分注意してしてください。

11月29日15時頃、南西方向 太陽の右上に見えるアイソン彗星

11月29日の日没前後 〜見えるか、アイソン彗星と長い尾

 近日点通過後、アイソン彗星を観測するのに最適なのは、11月29日の日没直前から日没直後にかけてです。下の星図は日の入りから10分前のようすです。アイソン彗星は太陽よりも右上側、3.1度離れた位置にあります。まだまだ至近距離なうえに、明るさは-1.2等に落ちていますから、まだまだ厳しい条件であることに変わりありません。双眼鏡を使ってその姿をとらえることができればラッキーといったところでしょうか。当初の予報のように-7.3等の明るさがあれば、どんなに素晴らしかったことでしょう。

 しかし、あまり悲観する必要はありません。アイソン彗星は尾が伸びているでしょうから、彗星が沈んだ後も、尾だけが観測できる可能性はあります。写真撮影でも絶好の被写体になるでしょう。観測できるのはごく短時間しかありませんから、しっかり準備して観測にのぞんでください。

11月29日の日の入りから10分前、西南西方向 アイソン彗星が見える位置

 つるちゃんのプラネタリウム 昼間にアイソン彗星を観測できる?