ZTF彗星(ズィーティーエフすいせい)を見つけよう

 ここでは実際にZTF彗星が夜空のどの位置に見えるかを解説します。市街地からだと肉眼で見つけるのはまず無理ですから、双眼鏡を用意されることをおすすめします。ZTF彗星が日々移動する中で、こぐま座β星、カペラ、火星、アルデバランと明るい星に相次いで接近します。見つける絶好のチャンスですから、逃さないようにしましょう。
 
 ZTF彗星は1月30日ごろ、天の北極へ10度を切るところまで近づきます。このため東京では1月下旬から2月上旬まで、一日中沈まない周極星となります。通常の彗星は夕方の西空か明け方の東空に見えますが、ZTF彗星は深夜に北の方向を中心に見えます。
 
 星図で紹介する21時ごろに観測することを考えた場合、残念なことに月の条件が良くありません。1月29日が上弦、2月6日が満月、2月14日が下弦ですから参考にしてください。

1月22日

 東京でZTF彗星が周極星になるのも間近です。周極星になると一日中沈みませんから、夜間なら時間帯を問わず見ることができるようになります。しかし、高度がある程度ないと見つけるのが難しいですから、星図の時刻は23時としました。
 
 りゅう座のι星(3.3等)から3度ほどの位置にありますので、ここから探すのがよいでしょう。もしわからなければ、こぐま座β星コカブ(2.1等)から探しますが、だいぶ離れているので難しいかもしれせん。明るさが増してきて、この日は5.7等と肉眼彗星になっています。

1月22日 23時

1月27日 こぐま座β星に接近

 今日のZTF彗星は、こぐま座β星(コカブ、2.1等)に近づいています。双眼鏡なら同一視野に入りますので、見つけるのに絶好の機会です。明るさは5.2等まで明るくなりました。

1月27日 22時

2月1日から2日 地球との最接近

 ZTF彗星は2月2日の未明に地球へ最接近します。これにあわせて最も明るくなり、予報では4.9等です。少し街明かりがある程度なら、双眼鏡でも十分見つけられます。
 
 残念なことに、近くに目印となる星がありません。21時に見る場合は北極星の真上方向へ「えいっ」と双眼鏡を振り向けるしかありません。といっても17度以上も離れていますから、かなり当てずっぽうになります。付近に明るい星雲状の天体はありませんので、ぼんやりした天体が視野に入れば、まず間違いなくZTF彗星でしょう。尾が見える場合は細長く楕円形に見えますので、形にも注目してください。
 
 それからこれも残念な話ですが、21時ごろだと月齢10.6の大きな月があります。東京での月没は2日の4時17分ですから、この後なら暗夜で観測できます。薄明終了が5時13分にせまっていますが、それまでの時間帯を有効に活用するのも一つの手です。4時半ごろならZTF彗星の位置は、北極星の左下へ19度ほどです。

2月1日 21時

2月2日 4時30分

2月5日と6日 カペラに接近

 2月5日と6日は、最もZTF彗星が見つけやすい日の一つです。それというのも0等星のカペラに近づくからです。21時に見た場合、両日とも3度から4度の間隔です。7倍くらいの双眼鏡なら楽に同一視野に収まりますので、簡単に見つけられるでしょう。難点を言えば、高度が70度を超えますので、長く見ていると首が痛くなることでしょうか。あと、6日は満月です・・・。ZTF彗星の明るさは5日だと5.2等、6日だと5.3等と暗くなり始めました。

2月5日 21時

2月11日 火星に大接近

 2月11日のZTF彗星は火星に1度あまりまで近づいて、大接近となります。火星(0.0等)のすぐ左にありますので探す苦労はありません。前日も翌日も3度ほどの間隔で、こちらも接近状態です。今日の彗星の明るさは6.0等ですから、肉眼彗星はこの辺りで終了です。

2月11日 21時

2月14日と15日 アルデバランに接近

 2月14日と15日は、おうし座の1等星アルデバランに接近します。間隔は両日とも1度台と、かなり接近します。例によって双眼鏡なら同一視野におさまりますので、位置関係さえ把握しておけば探す苦労はほとんどありません。ただ、ZTF彗星の明るさが6.5等ないし6.6等と、だいぶ暗くなってしまいます。

2月14日 21時

このページのシミュレーション画像は、自作ソフト「つるちゃんのプラネタリウム シェア版」を使用しています。計算精度の関係で位置が多少ズレることがありますのでご了承ください。